研究成果経過報告
 新古書店研究
 はじめに
 第1章 古書流通の〈ニューウェイブ〉
  1. 新旧の古本屋
  2. マルチメディア・リサイクル店
  3. 郊外を拠点に広がる大規模古書店
  4. インターネットに広がる書店と古書店
 第2章 新古書店が標的にする市場
  1. 新古書店の覇権争い
  2. マンガ古書市場と新古書店(未完)
  3. 拡大するコンテンツ・リサイクル
    • 新古書店で売れる本・売れない本
    • 拡大する中古CDおよびゲーム市場
 第3章 新古書ビジネスの実像と将来
  1. 新古書店が投げかけた波紋(未完)
  2. 迎え撃つ新刊書店と古書店(未完)
  3. 過大評価されがちな新古書ビジネス(未完)
 第4章 新古書ビジネスの実像と将来
  1. 出版流通が抱える矛盾点
  2. 錯綜する競合関係と出版ビジネスの将来像


更新履歴

■2006年 4月2日
 新古書店研究を掲載しました。
■2006年 4月2日
 Laboページを制作しました。

共同研究の申し出歓迎

共同研究の申し入れ、単行本化のリクエストは常時歓迎いたしますので、public@fbook.com宛にご連絡ください。あるいは、TOPページに掲載しました連絡先宛にご連絡いただくのでも結構です。

新古書店研究の経緯

最初に企画したのは1998年6月ごろでした。当時つながりのあった某新書の編集長に打診したところ、おもしろそうなので詳細を提案してほしいと言われました。そして8月、細かな構成まで作成して正式に提案したところ、GOを出してもらうことができたのです。
ところがこの時期、ほかにも多くの原稿をかかえていたため、作業が何度か中断してしまいました。さらに、その編集長が病気で長期入院したために連絡が滞ってしまい、いつのまにか企画そのものが棚上げになってしまったのです。
その後、あらためてその編集長の上司だった人に再提案をしてみましたが、あいにくと「諸般の事情」により、企画復活には至りませんでした。

予定していた内容構成

企画当初に予定していた構成は次のとおりです。もちろん執筆段階で大幅に変更されるのは日常茶飯事ですが。

  1. 古書店〈新勢力〉の登場
    1. 新しいタイプの古書店および古書マーケット
      1. 一万円で文庫本・新書・マンガを百冊買える書店
      2. 新古書店の立地・品揃え・購買層
    2. チェーン展開で急成長するマルチメディア・リサイクル店
      1. 一気に全国展開したブックオフコーポレーション
      2. レンタル・ビデオから拡大をはかるフォー・ユーとGEO
      3. 関西を拠点に急成長の古本市場チェーン
      4. 大都市圏で地道に支店拡大をはかる中規模チェーン
    3. 郊外を拠点に広がる大規模古書店
      1. 郊外型大規模店舗のルーツ・万歩書店
      2. 新学生街に根を張るブックセンターいとうグループ
      3. 出版物の「ダム」を目指す高原書店
      4. 広大な店舗の超書店マンヨー
  2. 書籍流通・古書流通への影響
    1. 書籍流通の概況
      1. 新刊書の流通ルート
      2. 古書の流通ルート
      3. 再販売価格維持制度と二次市場
    2. 新古書店が投げかけた波紋
      1. 出版市場をめぐる環境の激変
      2. 代替わりが進む伝統的古書店
      3. 新古書店が突きつけた〈画一化〉戦略
    3. 迎え撃つ新刊書店と古書店
      1. 独自市場を持つ老舗古書店の強み
      2. ひと味違う専門古書店
      3. 大規模店舗化する大手書店と苦悩する零細書店
      4. 多角化する新古書店が繰り広げるジャンルを超えた競合
  3. 新古書店が標的にする市場
    1. 各地に広がる新古書店の覇権争い
      1. 最大の激戦区となった八王子・相模原
      2. 大規模店が衝突する関西・中京地区
    2. 焦点のマンガ古本市場
      1. マンガ市場が出版ビジネスに占める重み
      2. 80年代以降に急成長したマンガ古本ビジネス
      3. マンガと新古書店の相性
    3. 拡大するコンテンツ・リサイクル販売
      1. 新古書店で売れる本・売れない本
      2. 拡大する中古CDおよびゲーム市場
  4. 新古書ビジネスの実像と将来
    1. 過大評価されがちな新古書ビジネス
      1. ブックオフのメディア戦略
      2. 新古書店が抱える根本的な問題
    2. 出版流通が抱える矛盾点
      1. 増え続けた出版点数がもたらした歪み
      2. 新刊書は高いのか安いのか
    3. 錯綜する競合関係と出版ビジネスの将来像

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新古書店とのかかわり

新古書店とのかかわりあいは偶然がキッカケである。たまたま新聞記事でブックオフというリサイクル店があることを知り、たまたまブックオフの店舗の前で駐車したことがあり、たまたまブックセンターいとう東中野本店の近くに住む知人がいて、たまたま京都で泊まったビジネスホテルの近くにCMCの支店があった。「たまたま」の連続である。
もともとマンガ古書を大量に買うようになった当時は東京の新中野に住んでいたため、まんだらけ中野店と地元の古書店でこまめに買い出しをおこなっていた。巴里に住み、それから日本に戻ってからは、生活拠点が神保町からも中野からも遠くなったため、別の買い出しルートを探し求めていたところ、それが相模原・八王子方面の開拓につながったのである。こちらの主役はブックオフ系列店といとう系列店だった。
正直なところ、まがりなりにも印税収入が収入の少なからぬ比率を占める者として、リサイクル系の古書店で本を安く買うという行動は、自家撞着と批判されても仕方がない。しかし、書店での回転が速いこと、限られた予算のなかでより多くの資料を購入する必要があることから、「わかっちゃいるけど……」ということになってしまうのだ。

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