今年の日記
21世紀の日記
20世紀の日記

2006年 4月4日 喉がボロボロ

 全国的に大学はオリエンテーションの季節である(笑)。そしてこの時期最も多忙な教員は教務委員なわけだが、今年で教務委員を務めること6年目のワタシにとっては、オリ初日が仕事はじめのようなものだ。
 今日は午前中に4年次オリ、午後に3年次の学科別オリがあった。4年次オリは同僚の担当だったのだが、助っ人に行くと約束をしていた。しかし、今日のための資料を今朝までやっていたため、寝坊させてもらった。一応、昼前に登校したのだが、予想通り4年次オリの延長戦をやっていたので、助っ人に加わる。
 昼休みに3年次オリの資料を再整理する。資料というのは、新3年生全員の成績通知票のチェック結果である。まあ、毎年やっていることだが、新2〜4年の学期末成績を卒業要件に照らし合わせて全量チェックし、卒業までにどのカテゴリーが何単位不足しているのかを洗い出すわけだ。
 こういう仕事は教務課か学生本人にやらせればいい、という意見もあるにはある。しかし、「年齢7掛けの法則」にしたがえば、いまどきの大学生は中学生の感覚で接しなければならないので、このぐらいのことは教員の責任でやるべきだとオレは思っている。大学の方針にもよるんだろうけどね。
 で、その資料をもとに、中教室で2時間以上しゃべくり、それが終わってからは新年度最初のゼミをおこなったので、ほぼ4時間というもの、声帯はフルスロットル状態だったのだ。もともとオレは喉がけっしてタフなほうではないので、いまになって喉の奥がひりひりぴりぴりと痛む。
 明日は2年次の全体オリと学科別オリでしゃべくらねばならぬ。どこまで喉がもつやら。大教室だとマイクを使うのだけど、中教室だとマイクを使うには狭いし、肉声を使うには広いのだよな。

2006年 4月2日 学校法人会計

 昨年の4月に改正学校法人法が施行されたため、現在ではどの学校法人も事業報告書を公開しなければならなくなった。せっかくなので、いろいろな大学の2004年度の事業報告書をインターネットでチェックしまくり、Excelにデータを入力して比較してみた(笑)。
 非営利の学校法人会計は企業会計とは異なるが、ある程度のアナロジーは可能だ。最もチェックすべき点は次のとおり。

【消費収支計算書より】

・(帰属収入 - 消費支出合計) / 帰属収入

 学校法人関係では帰属収入が企業の売上にほぼ相当する。消費収入の合計ではない点に注意。こちらの数字は基本金への組入額が高いと減ってしまうが、基本金組入自体は資産の中身がかわる(現金から設備とか)だけなので経営の悪化要因ではない。
 んで、消費支出の合計は支出の部の最後に集計されている。これがいわば経費に相当する額なので、帰属収入との差は株式会社の経常利益に近い。よって、帰属収入に対する割合は、経常利益率に近い指標となり、この数字が大きければ収益力が強いということができる。
 ざっと調べた感じでは、15%前後が一つの目安となりそうだ。

・人件費 / 帰属収入

 これで人件費比率をチェックできる。学校法人はどこも人件費の比率が高いものだ。しかし、この比率が高いということは、当然ながら経営リスクが高いということになる。企業サラリーマンと違い、教員というのは専門(も)バカなので、そう簡単に配置転換ができまへん。
 私学10校ほどを調べたところ、50%を切っていれば、とりあえずは御の字といったところか。50%台後半のところがずいぶんとあるけれど、そういうところは教員の年齢構成がアンバランスなのかもしれん。

・管理経費 / 帰属収入

 管理経費というのは、管理部門にかかわる光熱費だの賃貸料だのといった間接的なコストだが、当然ながら比率が低いほどスタッフ部門の業務効率が高いということになる。なので、ある程度規模の大きな組織ほど有利な結果となるはずだが(それが大組織の数少ない利点であるし)、だいたい5%前後が健全性の目安と思われる。

・教育研究経費 / 帰属収入

 企業の設備投資や研究開発投資に近い。当然ながら、この数字が高いほど教育環境が充実している(しつつある)わけだ。「やり手」と評される学校は30%を越えてますな。逆に、20%台前半だったりすると、設備がちょっとガタきてるんじゃないか、なんて思ってしまう。

・借入金等利息 / 帰属収入

 学校法人だってそれなりの負債をかかえている。というか、校舎の建設などでカネがかかるから、学校法人はけっこう借金が多い。かといって、事業を急激に拡大することは不可能なので、借入金の利息負担は抑えておかねばならぬ。なおかつ今後は金利の上昇が予想されるので、この指標は要チェックなわけだ。
 で、おおむね0.5%といった感じのようですね。ただ、経常収支率が低くて借入金利息比率が高いと、今後2年ぐらいは金利上昇リスクに直撃を受ける可能性があると思うぞ。

【貸借対照表より】

・(固定負債 + 流動負債) / (基本金合計 + 翌年度繰越消費収入超過額)

 学校法人会計の特徴に基本金という仕組みがあること。1〜4号とがあるが、簡単にいえば、企業の資産に相当する額だ。なので、負債総額と基本金+繰越金との比率を見れば、資産に対する負債の割合を把握できることになる。
 この指標、学校間でけっこう差がありましたが、10%台前半が一つの目安になりそうな感じでした。

 ……ということで、大学教員の方は自分の勤務先の経営状況をチェックなさってみてはいかがでしょうか(笑)。


Copyright(C) Masayuki ESHITA

仕事始め

4月から「あたらしい仕事」が始まる。といっても、最初の仕事はオリエンテーションというパターンが6年続いているので、去年とおなじような仕事が基本的には繰り返されるわけである。5年前にいまの勤務先に着任したときは、いままでにいちども携わったことのない仕事を担当したわけで、連日が初体験のオンパレードだった。そのときに比べれば、気分的には比較にならないほど楽ではある。
そうはいっても、最初の授業は緊張する。仕事の中身自体はおなじとはいっても、オーディエンスの顔ぶれは毎年かならず違うわけだから、それまでとは異なるコミュニケーションをゼロから始めるといってもいい。まあ、そういう緊張感があるので、毎年おなじ授業をやっていても楽しいわけなのだが。それにオレの場合、まったくおなじ内容を繰り返すことに耐えられないので(笑)、中身を4分の1ぐらいは更新してしまう。分野的にもそういう更新がないと、すぐに陳腐化してしまう。