今年の日記
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2006年 1月31日 仮定に無理があるのだ

 東京が物価世界一から「転落」したそうである。おなじ物品・サービスを購入したと仮定して生活コストを比較する、という調査なのだが、この仮定自体に無理がありますね。だって、都市によって必要なもの・そうでないものなど違って当然なんだから。
 以前、どこかの調査機関が、海外のあちこちの都市に赴任する商社マンとその奥さんに、生活実感にもとづく生活コストの比較調査をおこなっていた。それによると、最もコスト高の都市はスイスのジュネーブだったと記憶している。アメリカのロサンゼルスも東京よりコスト高だったような。オレの感覚でも、ジュネーブの物価は相当高いという印象があるし、スイスに住む友人も、実感する物価は日本の倍だと言っていた。
 結局、客観的な比較などほぼ不可能だということでしょう。ガソリン価格にしても電話料金にしても、ずいぶん前から日本はEUよりも安かったのに、なぜかなんでもかんでも日本のほうが物価高というイメージが(当の日本では)定着していたように思う。思い込みで受け止めてはいけまへんわな、この種の比較調査は。

2006年 1月30日 mighty mouse不調

 弱点といわれるスクロール・ボタン、評判通り(笑)不調です。page downで空回りしちゃう。そういう現象が出た当初は、Appleのwebに載っていたfaqどおりに対処すれば、なんとかなっていた。つまり、テーブルに布を置いてゴシゴシふきとる、というやつ。ただ、ここ一週間ほどは、一日に4回ぐらいゴシゴシしないとダメになってきた。こりゃメンテの問題ではなくハードの問題という可能性が高い。で、今日、Apple storeに電話をかけて修理を依頼したわけである。もちろん、修理といっても補初期間内、それも安い周辺機器となれば、無料交換となるわけだが。
 いまもゴシゴシやってから使っているが、指に多少力を入れてスクローリングさせないとdown側は反応してくれない。ちょっと強く押すとdashboardが出てしまうので、そのあたりの加減は職人芸である(笑)。ただ、オレはスクロールのup/downをかなり頻繁に使うので、こすりすぎのため右手の人差し指がやや痛む。中指の先なら「加藤鷹状態」といえるのだろうが(謎)。
 先週チェックを入れたディスコの株価が、今朝方早くも予想価格を突破したので、予定よりも早く売ってしまった。それにしても、yahooの掲示板を眺めてみると、ライブドア・ショックなんていつのこと、なんて思ってしまうぐらい、ギャンブラーのみなさん、元気&強気である。こやつら、テクニカル指標を見てるんかいな。ちょっとおもしろいと思うのは、すげえ情報でもうかりました、なんてネタをエサに怪しげなサイトに誘導しようと思われる書き込むの数である。こうなると、アダルト・ポータルのバナー広告とおなじであるな。人間、やはり欲望によって盲目となるもんですね(笑)。

2006年 1月28日 これも職業病みたいなもん

 喉がヒリヒリピリピリ痛む……といっても、風邪ではない。一昨日、来年度の時間割に関するガイダンスを一年生向けに行ったのだが、中教室だったため、マイクを使わず肉声でおこなったから、なのだ。昨日はそれほどでもなかったのに、今日になってからツバを飲み込むときにちょっと痛む。
 だいたいこういうガイダンスは4月にオリエンテーション時に実施するものなのだが、それだけでは十分に説明しきれない事情があるのだ。学部改組のとばっちりで、来年度は時間割がどえらく変則的になってしまったのである。教務委員ですら事態を十分に把握できていない人がいるくらいなのだから、いわんや一年生をや、である。それで、学期末のこの時期にプレ・オリエンテーションをおこなった次第である。
 しかし、そういう変則的時間割となったのも、もとをただせば学長がカリキュラム編成の基本を理解しないまま無意味なカリキュラム改訂を強行したからで、ここ一年ばかり、現場はその尻ぬぐいでてんやわんわである。なにしろ役職者のジイサン連中も(わが所属学科の学科長を除いて)事態をまったく理解できていないので、学長の大ボケをただ傍観してただけなのだった。ほんと、教員の定年は65歳、役職定年は55歳にしてほしいと切に思うぞ。

2006年 1月26日 ようやく仕切り直し

 今月上旬の銀行株急落による評価損が、ようやく元に戻りました。一時的に運用資金がマイナス14パーセントになりましたが、ライブドア・ショックのおかげで、思いのほか早く復帰できた。信用取引に手を出してブっ飛んだ人には悪いけど、あの日の急落で優良銘柄が軒並み安くなったのに対し、すでに値を落としていた銀行株はそれ以上は下がりようがなかったおかげで、いくつかの銘柄の乗り換えで現状復帰が果たせました。
 来週のmy注目銘柄は、ディスコ、アイシン精機、日立造船の3点です。指標的には上昇パターンに入りつつあるので、すべてハズレってことにはならないと思いますが、もちろん責任は持ちませんです(笑)。ちなみに現在の手持ちはこれらの銘柄ではござらぬ。まあ、買い換え候補、ということです。IT関連ではヤフーがあとちょとで反転、楽天も戻すんではないかな、と。銘柄的にはKDDIがいちばんおもしろそうです。
 ところで、ついでにライブドア本体の株価の指標(RSI、MACD、移動平均乖離率、ストキャスティクス)を眺めてみたのだけど、うーん、強制捜査の前日あたりの状況は、わりと「買い」のタイミングでしたねえ。その時点で670〜710円で動いていたのだけど、一週間で740円ぐらいまで上がってもいいような感じでした。こりゃ手を出した人がいたとしても、ギャンブルとは責められませんね。ポートフォリオに入れていたら、オレでも買っちゃったかも(^_^;)。そう思うと、一寸先はホントに闇ですねえ。ま、とりあえずはマザーズの株には手を出さないでおこう(^_^;)。

2006年 1月25日 ディズニーとアップル

 ピクサーがディズニーに買収されましたね。前々から交渉過程が報道されていましたが、あのジョブズがついにディズニーの個人筆頭株主になったのだから、やっぱり不思議な感じがします(笑)。そのジョブズ、ディズニーの取締役にも就任するそうですから、これで今年はiPod向けのディズニー・アニメが制作されるかもしれませんねえ。んじゃ、ソニーはILMと組むしかないじゃん。いや、やっぱジブリとのタッグでいってほしいが(笑)。

2006年 1月24日 田沼意次とホリエモン

 昨夜、胡散臭さのことを書いているときに、ふと、田沼意次のことに思い至った。考えてみれば、田沼意次は老中になどなれない身分の出であり、吉宗から家治までの三代にわたる将軍に重要されたことなど、家柄を背景とした旧来の幕閣にしてみれば、胡散臭くてたまらん存在であったことだろう。しかも、田沼の政策は農本主義ではなく重商主義、しかも財政運用面では構造改革と、守旧派には理解の外にあるようなことを推進したのだから、胡散臭さもきわまれり、といったところだろう。
 その田沼を追い落としたのが名門のぼんぼん、松平定信ってわけだ。当時の人々の目には、八代将軍の孫であり、田安家のホープである定信は、きわめて由緒正しいサラブレッドに映ったはずである。ところが、定信のやったことというのは、田沼による創造的破壊の破壊にすぎなかったわけだ。結局、「由緒正しいサラブレッド」のやることなんて、こんなもんだと思う。
 胡散臭い人がいない世の中というのは、結局、凡人と特権階級とに二分された世の中、ということなんじゃなかろうか。要するに、ガチガチの階級社会であればあるほど、胡散臭い人物が出てくる隙間がないということだ。たしかに一山当てた資産家がヨーロッパ社会で大量に出現したのは、フランス革命や産業革命によって旧来の階級社会が部分的に破壊されたときであったはずだ。だとすれば、胡散臭い人物を排除する風潮は、特権階級の固定化を利するだけであって、庶民の「ドリーム」の芽を摘むことでしかない。そうでなければ、一切の私有財産を否定した共産主義を受け入れるしかないはずである。共産主義社会であれば、みんなが等しく汗水垂らす社会となるはずだ(もっとも、そんなユートピアは実現しようがない)。
 そんなわけで、オレはホリエモンのシンパでもないし、ホリエモンを「彼こそ現代の田沼意次的人物だ」と言いたいわけではないのだが、胡散臭さを否定する風潮に接するたびに、じつは世の中の多くの人は、ガチガチの階級社会が案外と好きなんではないか、と思ってしまうことがあるのだ。
 ちなみに、あたしゃ田沼意次という人物に肯定的な印象を抱いています。輝一郎ダンナが意次を主人公にした小説を書いて直木賞を取り、その作品がNHK大河ドラマの原作に採用されるとうれしいんだがな。

2006年 1月23日 胡散臭さ

 ついに逮捕されたホリエモン。強制捜査が入ったころから、最初から胡散臭いヤツだと思っていた、だとか、やはり汗水流して働いていないから、だとか、マネーゲームの末路、だのといった批判があちこちからあがっている。まあ、それはそれで一つの批判ではあろうが、オレとしては、胡散臭さを突っつく気にはなれない。
 ホリエモンは最初から胡散臭いヤツでしたよ(笑)。がしかし、あたらしいビジネスに取り組む人など、胡散臭く見えるに決まっているわけだよね。いままで誰もやろうとしないことをやる、誰も儲けられなかったことで儲けようとする、誰も価値を見いだせなかったものに価値を付けるわけなんだから、そりゃ胡散臭く見えるに決まっている。ホンダだって、東通工だったそうだったはずだ。
 汗水云々って論調にしたって、そりゃ士農工商的発想だよね。マネーゲームったって、べつに元手の大きさや運だけで勝負がつくんじゃないわけじゃん。高等数学を駆使した相当高度な頭脳プレイだよね。筋肉使うのが尊くて、脳味噌を酷使するのは怠惰だというのなら、そりゃ体育会偏重だっつーの(笑)。英米の投資銀行でファンド・マネージャをやってる人なんて、大学で数学や数理工学、大学院で経営学を勉強して専門知識を鍛え上げ、マネージャ職に就いてからは、たいがい一日18時間労働なわけで、休みもほとんどない。五年で燃え尽きてしまうというぐらい、過酷な仕事なわけだよね。ハゲタカだって苦労しているのだ(笑)。
 M&Aも株式分割も敵対的買収も、そりゃビジネスの手法にすぎないんだしね。ライブドアをもって実体がないだの虚業だのとバッシングするのは簡単だが、事業の実体なんてものは、あとから付いてくることだってあるんちゃうか。西武グループの創業者・堤康次郎だって、ペテンにペテンを重ね、計画倒産までやって土地をだまし取り、儲けだけを目的として事業をふくらませてきたわけだよね。結局、立志伝的人物のビジネスなんて、多かれ少なかれ実体のない虚業に支えられたもんなんじゃなかろうか。だから、亀井静香的論調に与したいとも思わないっすな。
 今回、オレなりに思うのは、ホリエモンの罪はただ一点、粉飾決算にあると思う。市場から資金を調達してビジネスを行っている者が、市場でのゲームの大前提となる決算をごまかしたんじゃあ、救いようがない。これで東証マザーズという市場そのものが信頼を失ったんではないのか。そしてこれは、中小企業やベンチャーにとって、深刻な事態を招くんじゃなかろうか。資金調達手段として直接金融を使えなくなりかねない、ということだからね。
 不良債権問題がクローズアップされて以来、銀行の貸し渋りや貸し剥がしが問題視されているが、銀行は貸し渋ってあたりまえだと思うぞ。だって、借金で集めたカネを又貸しするわけなんだからね。そりゃホイホイと貸すべきではないっすよ。そうなると、不動産を持っていないとか信用度の低い事業者は、街金に高利で借りるしかない、となってしまいそうだが、そこに直接金融の存在価値があるわけだよね。とりわけ、ベンチャーのような新規事業に対し、銀行は絶対にカネを貸すべきなのではなく、直接金融こそが機能すべきだ。今回の事件は、そういう芽を摘んでしまったことが最も憂慮すべきことだと思う。
 それにしても、上場にあたっての審査とか、企業監査というのは、どうしてこうもザルなんだろうか。会計の専門家によっては、ライブドアの有価証券報告書を詳細に調べてみれば、粉飾決算の可能性は十分に読み取れる、と指摘している。上場企業であれば、たしかに有価証券報告書は公開されているのだから、投資家各人がそれをキッチリ調べるべきだし、十分に調べられないのであれば投資などするな、という自己責任論にも一理あるだろう。しかし、監査という制度がある以上、それを通過した結果を信頼するというのは、ひとつの前提と考えていいはずだよね。
 このあたりは偽装マンション問題の自己責任論と通ずる。この件だって、安すぎる物件を買った人の責任という批判があるわけだけど、公的な審査制度があり、それを通過した事実を確認することが自己責任の範囲なのであって、制度の信頼性そのものまでをも末端の購入者がチェックする責任などないし、できようはずがない。
 まあ、話があっちゃこっちゃに飛んでしもうたが、今回の件で、オレはホリエモンという経営者にはダメを出したい。それは、粉飾決算をやったという、その一点からである。

2006年 1月21日 台湾坊主

 首都圏で雪が降るのは、低気圧が台湾方面から関東南岸を抜けるときだけである。不思議と、1月半ばと3月上旬にそういうパターンが生じやすい。なので、国立大学の受験者は雪に直撃される確率がえらく高い。
 この低気圧、台湾付近にあるときには、気圧の線の形が坊主みたいなので「台湾坊主」と呼ばれていた。八百屋をやっていたオヤジは、雪に見舞われると市場に行けなくなるので、雪が降ると、「今日は台湾坊主にやられちまったな」とボヤいていたものである。しかしいまは、「東南海低気圧」とかって呼んでいる。「台湾坊主」のほうが、どこか愛嬌があっていいと思うんだけどねえ。
 うちのまわりもちょい積もってきた。べちょ雪だから、タイヤの空気圧を下げればノーチェーン・ノーマルタイヤで悠々走れる状態だが、横浜は坂が多いからねえ。

2006年 1月20日 「サインはV!」の続編

 テレビドラマが大ヒットした「サインはV!」、漫画のほうはといえば、望月あきら画・神保史郎原作で昭和44年・45年に週刊少女フレンドで連載されていた。コミックスは、講談社のKCフレンドシリーズ、講談社漫画文庫、ひばり書房ほか、いくつかの出版社から出ており、漫画で読んだ人も多いはずである。
 一般に、この作品の最終回と思われているのは、全日本選手権後にジュン・サンダースが病死し、それを乗り越えるような形で全日本チームが海外に遠征する場面である。ドラマもたしかここで終わり、コミックスもその場面をもって完結としている。しかし、その場面は雑誌連載ではフレンドの昭和45年第35号に掲載されたもので、実際には36号以降も話は続き、第52号で連載が完結されている。
 KCフレンドシリーズ版は全8巻+別巻の構成だが、第8巻が異様に薄い。フレンド第36号以降のエピソードを強引に打ち切った感がある。主要キャラクターのジュン・サンダースの死後、作品の人気が急落し、コミックスを8巻で打ち切るために、あえてその場面を完結としたのだろうか。たしかに37号以降のエピソードはといえば、忍術を駆使する謎のチーム「ブラック・スター」が登場し、実業団の強豪チームを次々と撃破し、という展開で、まあ、それほどおもしろいもんではない。最終回が掲載された第52号には、表紙に「最終回」のアオリもなく、ヒット作のわりに、えらく地味な幕引きであった。
 なんにせよ、「サインはV!」の本当の最終回は、やることをすべてやりつくした牧コーチが立木武蔵から去り、ユミたちがそれを見送る場面で完結する。……と思っていたら、さらにその先があることがわかった(^_^;)。
 つい先日、親しい古書店の目録を眺めていたら、《秋元文庫「サインはV!」続編》という商品が掲載されていたのである。最初、てっきり36〜52号掲載分が文庫化されたのかと思い、あわてて古書店に電話をかけて確認した。すると、この続編というのは、52号で完結してから少し先に、絵物語としてフレンドに連載されたもの、とのことだった。36〜52号掲載分は、やはりコミックス化は一切されていないことが確認されたのだが、他方、その先のストーリーがあることがわかってしまった。
 電話を切った後、書庫で手持ちのフレンドを確認してみた。昭和45年以外のものはそれほど多くは持っていないが、わずか3冊しかない昭和48年の号のなかで、おわりのほうに、たしかに《コミック・ストーリー「サインはV!」》が連載されていたのである。牧コーチが立木武蔵とは別のチームを育てる展開らしい。
 はずかしながら、漫画のストーリーは、やっぱり雑誌でフォローしなければ全体像はなかなか把握できないと再認識した次第である。

2006年 1月19日 アップルは何メーカー?

 アップルの売り上げ構成比でiPodがパソコンを追い抜いてしまったそうだ。
 売り上げと成長性からして、もはやアップルはパソコン・メーカーではなくてオーディオ・メーカーということになる。iTMSもあるのだから、オーディオ事業者、といっていいのかな。でも、そうなると、商標登録でかつてもめたことがあるAppleレーベルやMcIntoshとの諍いが深刻になりそうですね。

2006年 1月18日 東証売買停止

 注文殺到で東証の売買がついさきほど停止されました。午後1時すぎに、約定件数が600万を超えたら停止、という発表があったのですけど、それを受けたかたちで午後2時40分にシステムが停止されました。
 発表後の値下がりはすごかった。騰落率ランキングを見たら、値下がり率10パーセント程度ではトップ40にも入れません(笑)。この株がこんな値で買えちゃうのね、と思ったくらいですから、虎視眈々と狙ったトレーダーも多かったことでしょう。
 オレの場合、今日使える資金は31万円程度でしたが、急落のおかげで、買える銘柄がけっこう増えました。即リバウンド狙いです。まず、2,600円ぐらいまで下げ、25日移動平均乖離率が-10を割った銘柄が2,850円に戻したところで100株買い。わずか15分後に2,950円まで上がったので即売り。別の銘柄で、135,000円のストップ安まで下がった銘柄(おなじく乖離率-10を割り)が142,000円に戻した段階で2株買い。15分後、147,000円〜150,000円でもみあったので、欲をこかずに147,000円で売り。
 ……というわけで、リバウンドの玉拾いで、31万円が33万円になってくれました。まあ、塩漬けになっている株の評価損はもっと大きいけど、多少なりとも取り戻せたので由としよう(笑)。

2006年 1月17日 マスコミ経営者 vs きっこの日記

 今日、1月17日は、阪神淡路大震災11周年であり宮崎勤事件最高裁判決の日であり偽証マンション問題のオジャマモン証人喚問の日でありライブドア強制捜査翌日である。こうも見事にニュースが重なったもんだが、もちろんそこには恣意的な日程調整が見えてくるわけで、まあ、誰が考えても「争点そらし」ということを思いつくわけだ。証人喚問への注目を下げるんではないか、という素朴な疑問である。
 出典は失念してしまったが(かなり古い論文)、ファシズム体制と自由経済体制のもとでは、いずれもマスコミは政治権力を側面支援する役割を担う、というような分析があった。いずれも現体制が維持されることで利益を享受できるから、というのが理由である。偽装マンション問題は、自民党政権がぶっ飛ぶぐらいの問題をはらんでいる可能性があるわけだが、それで大混乱が生じると、旗幟鮮明にすることに不慣れな日本のマスコミ経営者は困るはずである(笑)。そう考えると、重大スキャンダルへの注目度が相対的に下がることは、マスコミ経営者にとってかえって好都合な面があるわけだし、重要ニュースが並べば、争点かくしをごまかす口実になる。
 こういう限界があるからこそ、オルターナティブ・ジャーナリズムへの注目が高まっているわけだが、偽装マンション問題とくれば、これはもう、さるさる日記の「きっこの日記」である(笑)。昨年11月ごろから、日本で最も注目されている日記といっても過言でなかろう。この日記の動向は、オルターナティブ・ジャーナリズムを考える格好のケース・スタディとなるんじゃなかろうか。

2006年 1月16日 どうなるライブドア(の株価)

 昨年11月ぐらいから、ライブドア本体、ライブドアMともに株価は高水準を維持し続けていたが、今回の証券取締法違反で、当然、明日の株価は急降下が予想される。はて、いくらまで下がるだろうか。そして、その影響はどこまで波及するか。
 東証一部の平均株価は先週から一定幅を上下しているが、その一方で、東証二部やマザーズは上昇ペースを維持している。今日も東証一部は上値が重く、運用資金のかなりはマザーズなどの新興市場に流れたようだ。しかし、もともとジャスダックもマザーズも値動きが激しいだけに、ちょっとした波乱で一斉に値がさがる可能性がある。もっとも、相場全体に先高感が強いだけに、大幅に下がったあとに買いが入る可能性もあるだろうから、どういう銘柄がどう動くか。

2006年 1月15日 同値関係

 とある日記で、(-1)×(-1)は、なぜ1になるのか、という話題が取り上げられていた。
 この問題は、整数の定義に沿って考えれば、ごく「普通」の計算から導くことができる。結果だけを書いてみるなら、次のような計算(というか証明)になる。

(-1)×(-1)=(0, 1)×(0, 1)=(0×0+1×1, 0×1+0×1)=(1, 0)=1

 ここで問題は、-1=(0, 1)、1=(1, 0)およびかけ算の形式だが、これが結局は同値関係を使って自然数を整数に拡張したことによるものだ。つまり、おおもとの数の概念である自然数には「負」は存在しないため、自然数だけを使って形式的に「負」を表現できるようにしなければならない。その形式が(0, 1)という組み合わせの形である。これは「0 - 1」という引き算を組み合わせの形で表現したもの、と見なせばわかりやすいだろう。
 ある集合を土台にして、より大きな集合を作るという操作は、現代数学ではごく一般的に用いられている。自然数は整数や有理数の部分集合だが、実際の定義では、自然数を拡張して整数に、整数を拡張して有理数にするわけである。この拡張で用いられる常套手段が同値関係である。
 同値関係とは、きわめて単純化していえば、集合の「割り算」のひとつだ。大きな集合を一定の関係化で縮小する。これが同値関係の一つの特徴である。となると、集合の拡張に同値関係を用いるのは「?」と感じるだろうが、要は、単純な方法で拡張した集合を、同値関係の導入によって整理することにより、一定の法則性を持った拡張ができるのだ。
 同値関係とは、ある集合になんらかの関係「〜」が定義されていて、集合の任意の要素に対して次の三つの条件が満たされていることをいう。

1)x〜x(反射律)
2)x〜yならばy〜x(対称律)
3)x〜yかつy〜zならばx〜z(推移律)

「等しい」という関係、すなわち通常は「=」で表記される関係がこの三条件を満たしていることは明白だ。なので、「=」は同値関係ということになる。ただ、この関係はきわめて厳格なものなので、これによって得られる商集合はもとの集合とおなじだ。
 ほかの例として、たとえば「二つの整数n, mにおいて、n - mが2で割り切れる」という関係を考えてみよう。1)〜3)を満たすことは明かである。n - m=0であり0は2で割り切れるから1)が満たされ、n - m が2で割り切れるなら、m - n =-( n - m )であるから当然こちらも2で割り切れるので2)も満たされる。そして n - m、m - l がそれぞれ2で割り切れるなら、n - l =(n - m)+(m - l)もまた2で割り切れ、3)を満たすことになる。
 この同値関係にもとづけば、整数という集合を、{..., -2, 0, 2, 4, 6, ...}というグループ(同値類)と{..., -1, 1, 3, 5, ...}というグループに分けることができる(類別)。つまり、整数という集合から、{偶数の集合、奇数の集合}という集合が得られたわけだ。後者が冒頭に掲げた同値関係による商集合である。
 では、同値関係を用いて自然数を整数に拡張するにはどうするかというと、まず、自然数のペアをつくる(数学的には「直積」と呼ばれる集合演算)ところから始める。つまり、(1, 0)、(2, 9)などの数字のペアで構成される集合をつくるわけだ。そして、(i, j)、(n, m)が、i+m=j+nを満たすときに(i, j)〜(n, m)とする」という関係〜を定義する。この関係は同値関係なので(簡単に証明可能)、これによって得られる集合が(話をはしょると)整数である。
 この関係〜とはつまり、「i - j =n - m」つまり「差がおなじ」という関係にほかならない。で、この同値関係で類別するというのは、「差がおなじものをひとくくりにする」という操作だ。つまり、「0-1」「1-2」「2-3」...を、おなじものと見なすのである。まあ、この例が要するに「-1」と表記されることになるのだが。
 かくして自然数から整数への拡張ができあがったわけだが、この際に整数(i, j)と(n, m)のかけ算を

(i, j)+(n, m)=(i+n, j+m)
(i, j)×(n, m)=(in+jm, im+jn)

 と定義しておく。これは、じつは(i, j)=i - j、(n, m)=n - mであるのだから、ごく自然な定義であることがわかる。
 かくして冒頭の式

(-1)×(-1)=(0, 1)×(0, 1)=(0×0+1×1, 0×1+0×1)=(1, 0)=1

 に到達するわけである。

2006年 1月13日 やはり速いかも

 自宅にあるMacのシステムをすべてTigerにしたので、無線LANのベースステーションもAirMac Express(ACアダプタみたいなやつね)に取っ替えました。Mac miniのみAirMac extremeが入っているので、こいつだけは10Mbpsから54Mbpsになったわけなんだけど、やっぱ速くなった感じがする。ブロードバンドの速度計測ページでスループットを調べてみたら、上り24Mbps・下り11Mbpsだと。803.11gに替えたら、803.11bの上限速度になった、ということっすな(笑)。

2006年 1月12日 ETCトラブル

 今日は新年初出勤である。授業は2限からだったので、朝ドラを見終えてからすぐに出発した。いつものとおり、首都高横羽線の三ツ沢から入ろうとしたのだが、国道1号の立体交差の途中からずん詰まりになっている。しかも、渋滞の遙か先頭の車が、信号3サイクルを経ても微動だにしない。こりゃ何かホカホカ事故でもあったんかいなと思い、列を離れ、裏道を使って横浜西口ランプに向かったところ、「停電によりETCは使えません」という表示がでていた。しかし、実際には停電ではなくてシステム・トラブルだったのだな。
 使えなければ現金で支払えばいいのだが、じつは今日、うっかりと現金を忘れてしまっていた(笑)。オレは財布は使わない主義で、カード類はカード入れ、札はマネークリップ、小銭はキーホルダー兼用の小銭入れ、という使い分けをしている。で、今日はマネークリップで留めた札を持参し忘れたのである。よって、現金では支払えない。
 仕方なく、ETCレーンにそのまま入り、係員に「カードで払えますか?」と尋ねた。そしたら係員曰く、「ETCカードをお持ちでしたら、そのままお通りください」。あらま、タダになっちゃった。しかし、Asahiのweb版を見ると、料金所によっては支払い確認書みたいなのを渡していたみたいね。たぶん、三ツ沢料金所でも、そういうことをやっていたから大渋滞になったんだろうな。それに比べて西口ランプの対応はオレとしては大ラッキーであった。

2006年 1月11日 やっとこさ終わった……

 ようやく単行本の原稿をすべて書き上げたっす。目標300枚強、しかし昨年末時点で200枚ぐらいで終わりそうな気配になったので資料を補強し、なんとか320枚までふくらませることに成功。年が明けてから140枚ぐらいを一気に書き上げたんではないかな……なんてのんびりしたことを書いていると、しばかれそうだけど(^_^;)。あとは図版の整理ぢゃ。まだ三分の一ぐらいしか仕上げておらん。
 でも、やっぱりセンセー稼業よか原稿を書いているほうが楽しいっす(^_^;)。

2006年 1月8日 プチ寝違い

 昨日は21時ごろに睡魔に襲われ、パソコンの前の座椅子でそのまま寝てしまった。24時ごろ目がさめて布団に移動したものの、経験上、こういうときは眠気がだんだんと薄れ、まったく寝付けなくなる。で、案の定、すっかりと目がさえてしまったのが午前1時半ごろ。こうなると、たぶん2、3時間は頭が冴えてしまう。仕方がないので、布団から抜け出し、書庫に行って漫画を何冊か抜き出し、今のカナッペで横になって読み始めた。
 2〜3時間ぐらいの時間つぶしにはなにがええかな、と思いながら抜き出したのは、庄司陽子の『生徒諸君!』。全24巻を読んでしまうと徹夜になってしまうので、とりあえずはいちばん盛り上がる部分だけを読むことに決める。となると、ナッキーたちが瑞穂高校に入学する7巻から、沖田くんが遭難死する第18巻まで、ということ。全部で12冊、何度も読み返している漫画なので、このぐらいなら2〜3時間で読める。……というわけで、夜中、今のカナッペで不自然な姿勢のまま『生徒諸君!』を読み始めたのであった。
 4時ぐらいで読み終わったので、布団に戻る。予想通り、すぐに眠気が襲ってきて爆睡に突入。起きたのは12時近かった。そしてすぐに始めたことは……『生徒諸君!』の1〜6巻、19〜24巻を読むこと(笑)。ただ、夜中の無理な姿勢がいけなかったのか、首筋の左側が痛む。寝違えほどの痛さではないのだが、強くひねると痛みが走る。中途半端に動かせるので、ハッキリした寝違えよりもいらつく。
 昨日は相鉄ムービルで「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」を観た。おもしろいことはおもしろいのだけど、やっぱ「スター・ウォーズ」のような興奮・トキメキがない。EP3のときは、ストーリーが終わり、スタッフの名前が延々と流れるところも感動に浸れたが、炎のゴブレットでは、その箇所ではイラついた。SWシリーズなら入場料が3,000円ぐらいでも観に行くが、ハリー・ポッターなら金券ショップで前売り券を1,100円で、というぐらいの差がある。まあ、これはSWシリーズへの思い入れ@当社比がそれだけ強いということなのだが。
 映画本編が始まるまえに映画予告編がいくつか流れるが、そのうちのひとつ、「フライトプラン」は観てみたいと思った。ジョディ・フォスターの主演映画だもんね、ちょっと楽しみである。

2006年 1月7日 "ink"と"sign"

 MLBもオフシーズン、このところ契約に関する記事がwebにたびたび掲載されている。yankeesの公式webでも、つい先日、「Cairo inks one-year deal with Yankees」という記事が出ていた。Cairoとは、昨年、ヤンキースからメッツに移籍した二塁手で、シーズン当初はリトル松井からポジションを奪った選手である。ヤンキース時代の2004年シーズンも途中からレギュラーの座を奪っており、個人的にはけっこう好きな選手だ。そのカイロがふたたびヤンキースと一年契約を結んだわけである。
 ところが今日、yankeesのwebのRSSを眺めていたら、「Yanks sign Leiter to Minor League deal」という記事があった。はて、「ink」と「sign」、どちらも「契約書に署名する」という意味であることは文章を読めばすぐにわかることだが、どういうビミョーな違いがあるんだろう。研究社の現代英和辞典を見ても、細かな違いは説明されておらん。そこでdashboardの英英辞典を見たら(いやー、便利っすねえ、この機能)、「ink」の方には「informal sign (a contract)」、「sign」には「engage (someone, typically a sports player or a musician) to work for one by signing a contract with them」という説明があった。
 つまり、「ink」の場合は選手側が略式契約に署名し、「sign」とあるのはチーム側が正式に契約を結んだ、というような違いなんでしょうね。MLBだと契約実務は代理人が代行するのが普通なので、「ink」というのは「細かなところは代理人に一任」ってな含みもあるんでしょう。

2006年 1月6日 大掃除の後遺症

 電話で取り付けたアポの類を、ついつい手近な封筒にメモしてしまう癖がある。連絡先のメモだけでなく、アイデアを練るときも、ついつい封筒に書いてしまうので、空封筒といえども捨てることができない。が、大晦日から元旦にかけて、封筒をことごとくシュレッダーにかけてしまったところ、案の定、年明けそうそうのアポの時間がわからなくなってしまった。
 さいわい、その人の所属先がわかっていたので、電話番号もすぐに調べられ、再確認できたのだが、やっぱ封筒にメモるのは危ないよなあ……と思いつつも、再確認した時間を空封筒にさっそくメモしていた自分であった。とほほ。

2006年 1月5日 三浦敬三死去

 スキーヤーなら知らぬ人はいないはずの三浦敬三が、亡くなったそうです。享年101才。
 むかーし、スキー関係の雑誌を眺めていたときに、三浦雄一郎の父親がいまだに現役スキーヤーだと知ってぶったまげたものです。99才のときにもヨーロッパ・アルプスの氷河を滑走してましたね。このときは本当は親子4代滑走をするはずだったのが、ひ孫さんが年齢制限に引っかかって、3代滑走になったんではなかったでしょうか。

2006年 1月4日 リトル松井の行方

 おなじ松井でも、ヤンキースのゴジラ松井は4年52M$の契約でヤンキースに残った。それとは対照に、今年までメッツとの契約が残るリトル松井は、昨年のシーズン半ばぐらいからトレードの噂が絶えず、オフに入ってからは、もはやトレードは既定路線で、どのチームが引き取るかが話題になっている。一応、本命はタンパベイらしい。昨年のシーズン途中まで野茂が所属していたフロリダのチームだが、ここにきてボストン・レッドソックス入りの可能性も出てきたような。
 ただ、どのトレードも、松井の年俸をどれだけメッツが負担するか、が成立の鍵を握っているらしい。日本のプロ野球にはないシステムなのだが、MLBだと年俸の高い選手をトレードに出すとき、もともといた球団が年俸の一部を負担することがよくある。リトル松井の今シーズンの年俸は800万ドルだっけか。メッツが550万ドル負担すればトレード成立となるようだ。逆に言えば、メッツはすでに500万ドルまでの負担は認めているということ。うー、リトル松井も完全に「のしを付けてくれてやる」状態であるな。
 それにしても、日米野球ではゴジラ松井よりもリトル松井のほうが活躍していたのだから、いかにあれがガチンコ勝負でないということがわかろうというもの。まあ、オフシーズンに無理をするメジャーリーガーがいるとは思えないが。
 今シーズンは城島がシアトルに来るわけだが、打撃を期待するのは酷だろうな。打率.260、HRが12〜15、RBIが60〜70もいけば、大活躍といっていいんじゃなかろうかね。なにせキャッチャーなんだからね。

2006年 1月3日 食い過ぎた

 今日は、娘の同級生の両親が遊びにみえた。最近では子どもどうしよりも親どうしのほうが仲がいいのである。とくに、ダンナさんが某漫画雑誌の編集長ということもあって、とにかく話があうのと、買い集めた古漫画・古雑誌の価値がわかってくれるので、オレとしても来てくれるといろいろ自慢ができてうれしいのである(笑)。
 16時ごろ拙宅に到着、すぐに書庫に案内し、SFマガジンやミステリーマガジン、週刊漫画アクション、漫画サンデーなどの創刊号やら、上村一夫の商業デビュー作掲載の月刊タウン創刊号やらを披露した。やっぱねー、こういうのはわかってくれる人がいるとうれしいもんだすな。
 その後、チーズなどをつまみにしてKRUGで乾杯。いいシャンパーニュは一気にあけないともったいない。もしかしたらお隣さんも来るかもしれなかったので、リザーブにAlfred Gratienも準備しておいたのだが、お客さんが長居しそうとのことで来られず、今回はKRUGを空けただけでおしまい。
 しかし、この絶品のシャンパーニュ、下戸のオレでも軽く2杯は呑めてしまうので、けっこう酔いがまわってしまった。もちろんシャンパーニュだから悪酔いはしないのだが、ついつい飯やつまみを食い過ぎて、すっかりと苦しくなってしまった。8時半ごろから高校時代の同期生の新年会に参加する予定だったが、そちらはドタキャンとなってしまった。ちと残念である。
 さて、ぼちぼち寝るか。

2006年 1月1日 二年参り行ってきました

 昨年はクリスマス前から旅行に出ていたので、新居で迎える初めての元旦となりました。さっそく、近所の神社で初詣をすませてきました。
 23時45分ごろに子どもを連れて車で家を出発し、神社に着いたのが23時50分ごろ。まだそれほど人はいなかったのだけど、あと三分で年明けというぐらいのころから、続々と初詣の人がやってきました。あっというまに百人以上の列ができていましたね。
 そこは州崎神社というところで、旧東海道沿いにあります。源頼朝が1191年につくらせた神社で、小さいながらもけっこう格式は高いようです。ちなみに、近くにある二つのお寺は、幕末にはフランス領事館、アメリカ領事館を兼ねていた時期もありました。
 神奈川県内で初詣の定番は、川崎大師、鶴岡八幡宮、寒川神社、伊勢山皇大神宮といったところなのですが、あたしゃなぜか洲崎神社と相性がいいので(ここでの神頼みがいちばん成就率が高い(^_^;))、だいたいここで初詣をおこないます。
 除夜の鐘も聞こえたし、年明けを告げる港の船の汽笛も聞こえたし、旧東海道の神社にお参りもしたし、いかにもなヨコハマの元旦ですね。


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ハマっ子とは

江戸っ子の条件が三代続けて浅草神社の鐘が聞こえる場所に住むことなら、ハマっ子の条件は、三代続けて港の汽笛が聞こえる場所に住むことか。もちろんこんなことはどうでもいいことだが、ヨコハマといえば港、やはり汽笛が聞こえる丘の上に住むというのが、長年ヨコハマに住み続けた人が共通して思うことだろう。ただ、最近になって移住してきた人には、青葉区あたりの住宅地がなんとなく人気なのだろうが。
もともとヨコハマには10の区しかなかった。中区、西区、神奈川区、鶴見区、磯子区、金沢区、南区、保土ヶ谷区、戸塚区、港北区がオリジナルの区である。北の港北区、南西の戸塚区がやたらとでかく、地図の上では戸塚区はカタツムリのような形だった。
昭和40年代当時、港北区は森や畑の田舎で、港北区に住んでいた中学時代の同級生は、夏の夜には天の川が綺麗に見えると「自慢」していたものである。戸塚区の横浜新道沿いは森が連なり、かなりタヌキが住んでいたはずだ。人口はすでに200万人を越していたが、まだまだ田舎は残っていたのである。たしか金沢区の富岡あたりは海水浴ができたし、屏風ヶ浦では潮干狩りをしたことがある。
そういう状況だったので、街のイメージがあったのは中区と西区、そして神奈川区は下町というイメージが強く、この3区以外にはヨコハマというイメージがあまりないのだ。もちろんこれは個人の勝手な印象であって、他の区民をおとしめるつもりは毛頭ない。が、この3区には、港の汽笛が聞こえる丘がたくさんあって、やっぱりここがヨコハマなんだよな、ということを、大晦日から元旦にかけて、いつも実感するのである。