21世紀の日記 |
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20世紀の日記 |
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92年9月の日記は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラム・フランス語会議室」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。
当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。
私の姉の友人が8年前からベルンに住んでおりまして、やはり日夜スイス・フレンチやスイス・ジャーマンと格闘しているそうです。何でもスイス・フレンチはまだフランス語の原形をとどめていても、スイス・ジャーマンはドイツ語とは全くの別もの、しかも只の方言なので目で標準語を読み耳で別の言語を聞くという凄まじい日常になるそうです。
それはさておき、ベルギーでは70は「セプタン」だそうですね。夏の語学学校でも、プエルト・リコ女性がフランス語の数字は不合理すぎると絶叫しておりました。まあ、我々東洋人の感覚からすれば、英語の数字だって十分不合理だと思いましたが。
さて、Anglicismeを嫌うフランスの権威筋たち、次の言葉のもともとの英語は果たして何でしょうか?既にご存じのもおありでしょうが、皆さんも試しに辞書無しで考えて見てください。
un disque optique compact(こりゃ明らかだ )
etat-major
faiseur de prix
faiseur d'or
「ぼやき」が出るのは愛情の現われなのでしょうね。だって、最後はやはり「憎めない連中だなぁ」という苦笑で終わってしまいますから。まあ、今日など突発的ストに出くわしても別段腹は立たなかったし、むしろ「あせったってどうせ行ける時間にしか行けねぇや」と即座に開き直って平然と遅刻した自分に、フランス在住の成果(?)を見いだしたところです。
仕事の効率は非常に難しい問題のような気がします。私も会社員として結構ちんたら働いていましたが、ある程度ちんたらしていたからこそ集中作業ができたような気がするし、フランス人の仕事は一見効率的、集中的なようで案外チョンボが多く、かえって全体効率は悪いような気がするし、ドイツ人の仕事はさすが!と思う事が多い反面、柔軟性やキメの細かさはやはり日本人の方が上かなぁなんて思ったり...。いずれも一長一短があるとは思いますが、それでも日本人の労働時間(否、拘束時間というべきか)は異常だと言うべきでしょう。尤も、マクロ経済的には「異常さ」の必然性があるのも事実ですが。
最近私は高等教育と企業教育の関わりが一つの問題点のような気がしてきました。以前、社会科学系の学生は企業から学校での勉強をアテにされていないという話があったと思います。経済活動だけの視点から見れば、これは異常な「不効率」ですよね?
GEの授業を受けて痛感するのは、高等教育と言ってもその内容がえらく「実用的」であるという点でした。法学にしたって、難しい法理論を無味乾燥に教えるというのではなく、実際に起こりうるケースを想定してどのような問題があるか、どのような訴訟が可能かといった演習が多く行われました。会計でも同様で、これは「会計学」ではなく「財務会計」そのものです。帳簿のつけかたから始まり、最後は財務分析まで行いました。
このような高等教育機関の存在意義や日本での可能性については次の機会に譲るとして、少なくとも高等教育に関しては、やはりフランスの方に一日の長があるなぁ、という気がしています。
6:52 日本からの電話で目覚める。
8:07 1限の授業に出席すべく、Chatelet駅に到着。けふは頭痛がひどく、この時点でサボるべきかサボらずべきかかなり悩む。
8:17 RTAP運転手のストにより、CERGY行きRER A線はChateletには来ず、代わってSt.LazardからのSNCFが振り替え輸送をする旨、アナウンスがある。パリに住むようになってストは初めての経験なので、なぜかわくわくする。周囲は皆いたって平静。さすがパリの住民である。けど、ChateletからSt.Lazardはどう行くんや!この時点でかなりサボそうとする気持ちが優勢になる。
8:49 取敢ず学校までは行こうと思い、振り替えの電車に乗る。肌寒さを感じる低温、降り頻る雨、傷む喉と頭、サボる条件は揃っている。
9:28 教室に到着。定刻より遅れること28分、級友達の暖かい視線に迎えられる。皆も突然のストに苦労したらしい。今日から新しい授業が始まるのだが、教師がまだ到着していない由。なお、今日から中国人学生が一人新たに加わる。北京でエンジニアをしていたそうである。
9:35 教師未だ来たらず。皆で校舎内のカフェテリアに移動す。いつの間にかサボるタイミングを失してしまう。
9:47 教師現る。カフェを飲んでから教室に来なさいと宣う。
9:55 皆で教室に戻る。授業開始、といってもいつものごとく自己紹介から始まる。この授業の担当教師の本職は演劇学校の先生だという。確かに授業はTechnique de communication oraleであるから、実に合理的な選択である。自己紹介の後は授業の進め方の説明。何と毎回exposeを各自、あるいは各グループが行い、それを批評しながら授業を進めるという。さっそく、今日の課題が与えられる。
10:50 一人ずつexposeが始まる。持ち時間は一人6分。
11:35 周囲の「Massa!」というコールにプッシュされ演壇に立つ。完璧に緊張しているのが我が事ながらよくわかる。
11:39 結局殆どまともな文章になっていなかったが、どうにか終わる。先生からは「4分だったネ」と言われるのみ。
15:08 学生証がよーやく出来ている由、級友の一人が触れて回る。私も事務所まで取りに行く。
15:10 事務所で「必要書類が提出されていない。これでは学生証を発効できない」と言われる。後から来た級友に「拒否されたぁ!」と訴える。皆、へへへと笑う。
15:18 学部事務所の秘書室に赴く。何と私はまだ正式入学手続きを済せていなかったことが判明する。ううむ、さすがフランス人、やることがおおらかであるなと感心する。その場で手続き書類を貰うが、実は日本から戸籍抄本を取り寄せ、しかも大使館で法定翻訳をしなければならないことが判明する。従って、私はまだ2週間は学生証を貰えないことになる。げげ。
15:42 教室に戻る。またしてもげげと思うことが進んでいる。午前中のexposeはビデオに録画されたのだが、私は単に教師のコレクションと信じていた。何と、一人一人スローやらストップモーションやら早送りをしながら、身振り手振りに至るまで指導されている。それはそれで有りがたいが、自分の姿を客観的に眺めたくないことに変わりない。いわんや哀れなフランス語スピーチの姿をやである。
16:55 今日の授業終了。私の哀れな姿は明日の午前中に俎板にのる。
19:17 このテキストの入力が終わる。
「昼休みに級友達と学生食堂まで昼を取りに行った時の出来事」
私は食後風邪薬を取り出して飲もうとした。目ざとくそれを見つけたT君が、ちょっと見せてと言いながら薬の瓶を持っていった。ごく普通の錠剤で、色はややクリームっぽい感じ。T君の正面に座っていたIさんはそれが薬だとは分からなかったらしく、私に「何それ?」と尋ねてきた。私は「これは日本人の特別なデザートだ。日本人は何でも小さくするのが好きだから、遂にチーズまでこんな大きさにしたんだぞ」と説明した。彼女はそれを事実と受けとめた。周囲が笑を噛み殺していたことは言うまでもないであらう。
「フランス式の目薬のさし方??」
今日の授業は階段教室で行われたのだが、昼休み後、私の前に座っていたP君がやおら顔を天に向け、目薬をさそうとした。何しろ彼らは顔の堀が深い、ま後ろから見ていた私の目には、目の中に容器を突っ込んで薬をさしているように見えた。いやはや、一瞬これがフランス式の目薬のさし方だと思ってしまった。
「金髪も楽じゃない!」
ストの影響で混雑する帰りメトロの中、私は顔をふせままぐったりと座り込んでいた。ポン・ヌフ駅でどうやらかなり混んできた気配がしたので、私は何となく顔を挙げた。目の前には腰まで届く見事なプラチナ・ブロンドの女性が立っていた。目の前が一瞬黄金に包まれたような、それはそれは見事なブロンドであった。しかし、目の焦点が定まると、実は一本一本の毛が蜘蛛の糸のようにかぼそく、しかもことごとく枝毛であることが分かった。こりゃ手入れが大変だろうな、と思う反面、彼女の抜けかかっている一本の金髪が妙に鬱陶しく感じたのであった。
今日は実に書くネタの多い一日であった。
フランス人が「友人」に示す歓待精神は驚くほどですよね。本当に夜帰してくれない、っていう実感があります。私は個人主義の裏側だと思っていますが。まあ、言うことは本当にいいかげんで、まさしく右から左へとぬけていく感じはありますが、一度「内側」に入った者に対する親しみはたまらない魅力でもあります。私もこれまでどれほど級友に助けられたか分かりません。
私の目にはやはり愛すべき人々という風に写ります(役人は除くとしても)。何かトラブルがあり、懸命な言い訳をする姿を見るにつけ、ああこいつらまたやって(笑)などと思います。私は確かに均質性というものに積極的な見方をしがちだし、均質とは言いながら多くの選択肢を作り挙げた日本のシステムを高く評価するものです。だからこそ、と言うべきだと思うのですが、雑多な状態を受け入れ、その運営に挑戦し続けているところがフランスの偉大さであろうと思うのです。
まあ、雑多さの真只中、不条理さを味わうのも楽しみの一つでしょうか。
今日から日本との時差が8時間に戻ります。夏時間から冬時間への代わり目なので、朝は1時間得した(?)ことになります。できれば月曜から冬時間になってほしかった。
夏授業も先週で終わり、さ来週からは秋学期が始まります。それなのに、一番時間の多い授業がなぜか明日から3日間集中して行われます。こういうフライングはたまらん。(;_;)
移り気な気候は相変らずで、昨日今日は最高23度という穏やかさ。その前2日は15、16度でした。どうやら再び風邪をひいたようで、風邪薬とイソジンを買っておいてもらって正解でした。(本当に救援物資は助かっています)
これは在仏日本人の間でしばしば耳にする言葉です。ただ、これは決して道徳的な意味で信用できないという意味ではなく、要はフランス人の仕事や言うことはどこか抜けていたり、いいかげんであったり、おおよそ各種のチョンボが日常茶飯的に起こることを意味しています。
今日また警察でこのフレーズを思いだす出来事に遭遇しました。
住所の変更のため、久々に地獄の地階に行ってきたのですが、さすが新学期前ともあって、順番待ちチケットには39人待ちと刻字されていました。まあ、係員が4人いたのと、大部分が案内だけを聞きに来たためだったので、20分程度で順番がまわってきました。
それで、7月に散々痛め付けられたマダムに住所変更の旨を伝えたら、あっさりと「それは引越先の警察署で手続きするのヨ」と言うのです。私は「仮許可証を貰った時に、引越たらどうするんだと聞いたら、あなたの同僚はここに来て手続きするようにと言った」と抵抗したのですが、「そんなのは知らんわ。とにかく住所変更は警察署の仕事よ」で終わりです。
まあ、こんなことはよくあることなので、私は心の中で「Merde!」とか「Salaud!」とか呟きながら地獄の地階を後にしました。
本っ当にフランス人の仕事に「完璧」はない!と私は何度も思った。配達は約束の日に来ない、届いたものは頼んだものと違う、申請したものがなぜか受理されていない、計算違いは恒常的、機械は年中故障する、等々。そのくせ文句を言うと精一杯言い訳して「Ce n'est pas de ma faute!」ですから、フランス嫌いの人にはたまらないことでしょう。まあ、ある程度慣れてくると、そこが愛すべき性格に見えてくるのですが。
関連した話しですが、パリでは銀行の手続きや役所での所要など各種の事務的手続きが、1日仕事になることが少なくありません。アポを取っても結構待たされたりします。そんなわけで、午前中これを済ませ、午後はここに行って何て予定は瞬時にして崩壊することがしばしばなようです。確かに私も銀行口座を開くのに3時間半かかったし。
とにかく1日に2つの用事が済むと、今日は何て効率的に事が運んだのだろうと喜んでしまいます。話しは飛躍するかもしれませんが、日本でこういう経験が少なくて済むのは均質性の効用ではないかと思います。均質性を論じるときは否定的ニュアンスが強いようですが、何事も長所短所は表裏一体、均質性の持つメリットはかなりのものだと思うし、個性的であることの不条理さも相当なものだと思いますよ。
EC統合やドイツ統一に対してソ連やユーゴの解体と、見かけ上相反する動きがヨーロッパを駆け巡っています。しかし、この動きは良く見ると表裏一体ではないでしょうか? いずれの動きも、結局は国家という枠組み、あるいは国家の主権をどのレベルに置くべきか、という模索のように考えられます。一つにはならないというのはあくまで民族的、社会的な枠組みの話しであり、EC統合は経済面での緩やかな統合にすぎないと思います。それを裏付けるように、フランスではあくまでCEEであってCEとは(めったに)表現しません。
国民投票が最後までもつれたのは、経済効率から考えれば統合化がベターであると分かっていても、通貨政策に事が及んだためと一般的に分析されています。先進国では現在のところ「主権」は経済的な自立を意味し、その根本である通貨政策の一本化は主権の放棄につながるとの印象を与えたのでしょう。
こういう表現をすると、経済効率追及による統合化は肯定的に迎えられているということに矛盾する印象を与えるかもしれません。ただ、推進派の論調は、あくまで効率向上の成果がEC加盟各国に必ず配分され、反対に効率向上を図らないと、日米による経済支配によって主権喪失に至る、というトーンです。言うなれば、統合の成果が結果的に個々の国の主権強化につながるということになるわけですが、このことから、来年以降、成果の配分を巡って、EC統合問題は大揺れに揺れると予想できるでしょう。特に成果の配分に懐疑的な国民の多いイギリスやフランスでは、行政と企業との間で相当激しい応酬が生じるものと予想されます。基本的にはフランスがどこまでドイツをおだて、ちゃっかり実を取り続けられるかが一つのポイントのような気がします。
もし経済統合が一定の成果を挙げるとなると、民族的には細かいレベルでの自立を志向するようになるのではないでしょうか? 要はメシを食って行ける仕組みさえ明確になれば、あとは仲間で固まろうという動きが出てくるような気がします。そうなると、200X年の統一EC(何をもって統一と言うのやら)においては、もしかするとブルターニュやアルザスが独立国家(何をもって独立国家と言うのやら)となっているかもしれませんね。最も地図屋が国境を記入しなければ意味はありませんが。
まあ、外野の一人としては、これが「国家とは何か」を問う壮大な実験と位置づけて見守りたいと思っています。企業関係者には要塞化というやっかいな行動であることに間違いないでしょうが。
大学の教養でフランス語はとったものの、専門に入った途端ばったし。会社に入って3年後、3ヶ月ほど昔の練習問題集を復習したあとアテネ・フランセに通いました。一応、本科であるサン・フロンチエール(SF)を選択し、そのまま上級まで続けました。
個人的な感想としては、とにかく体で覚えさせるのが重要だと思いました。ですから、SFの1、2は暗唱できるほど繰り返し読む、書く、聴くを繰り返しました。今でもそれが役に立っています。そして、ある程度慣れたと思ったら、なるべく多くの本や雑誌に接するよう心掛けました。私は自動車レースが好きでしたので、フランスの車の雑誌は結構楽しめました。
Fさんのフランス法講座のおかげで、今日の法学の授業は実に快適でした。教授のジョークに対し、周りと同じタイミングで笑えるというのは実にホッとします。それにしても、意味が何となく想像できるというのと、日本語で明確な用語を把握しているというのは大分違うと感じました。やはり我々にとって、漢字の持つ直感性は絶大なものがあるのですね。
さて、明日、明後日とSession d'eteの最終試験があるのですが、この試験のこと、QUIZって言うんです(発音はまさしく「くいず」)。級友にQUIZとEXAMENはどう違うのか尋ねたら、全く同じものだとあっけなく応えられてしまいました。でも、我々日本人にはやはり変な響きのある言葉ですよね?
私はTF1の1時のニュースで投票結果を知りました。結果は既に日本にも伝わっているでしょうが、OUIが51.01%、NONが48.99%です。OUI、NON優勢地域の分布が特徴的で、イル・ド・フランスがOUI優勢、その周辺はNON一色、そしてブルターニュとかアルザス、南仏がOUI優勢です。
来週の最終試験に備え、Fさんのレスにテキストの抜粋を加え、持ち込み用のノートを作成したところです。いやいや本当に助かりました。法学の教授はOlivier de TISSOTという時計職人をかかえていた元貴族ような名前の方で、とにかく3時間半(途中休憩30分)の授業中、ずぅっと喋り放しという驚くべき人物です。いろいろ面白い例え話しをされるのですが、きっと面白いことを言っているのに違いないということは分かっても、悲しいかな、今一つ意味が分からなくて悔しい思いをしていました。Fさんの解説で、かなりのジョークは判明しましたが。
私が気に入っているキムチは築地の場外市場にある中川商店というところのものです。買うときちょっとしたコツがあって、店頭で桶売りしているやつよりも、馴染み客用に冷蔵庫に隠しているヤツを狙うことです。それを買うためには、可愛いくて愛想の良い女の子と行くか、あるいは「パック入りのやつ下さい」と言うべし。
日常会話では、「Maastricht=マーストリッシュ」という感じですね。先週までの各種世論調査ではかなり「Non」が優勢で、先週は連日深夜まで討論会がTF1やA2で展開されていました。
フランス語の場合はNomを全て大文字で書くという原則が最優先されますので、これに従う限りNomは先に書いても後に書いても大きな問題はありません。確かに通常は「Haruki MURAKAMI」とするのが普通です。ただし、役所や銀行、フランス電力、フランステレコム等から来る書類や請求書の宛名は全てNomが先になっています。ビジネス・レターでもNomを先に書く場合が多く、その場合「MURAKAMI Haruki」となります。私の印象としては、informationとして名前を示すときはNomを先にするのが普通みたいです。契約書でもNomを先に書きます。
ところで、最近はMonsieurを「M.」ではなくて、見かけ上は英語と同様に「Mr」と略す例が多いようです(ピリオドなし)。役所や銀行、EDF、FT等の宛名もみなそうです。因みにMadameは「Md」のようです(Mademoiselleは不明)。
フランス語圏以外の人名や地名は、その国でのローマ字表記にするのが原則でしょう。というか、よお知らんところまで、いちいちフランス語風表記をする努力を連中はしとらんという所でしょうか。手帳などでは例えば東京は「Tokio」だったりしますが、反面名古屋は「Nagoya」(このままでは「なごわぃあ」)のままです。
名前についてはパスポート表記を用います。実際、アフリカ系留学生など教授でも名前を呼べない例もあるのですが、公的な表示が既にパスポート上でなされている以上仕方ないことです。プライベートにはフランス風にしたりしますが。例えば私の名前「Masayuki」はそのままだと「まざゆき」になってしまいます。ですから、私的の場では「Massayuki」としています。
まあ、いずれにせよ、あえてフランス語風にする義務はありません。
おかげさまで、疑問の大部分は氷解しました。
「マネージメント」に相当する言葉が「gestion」っていうのは知っていたのですが、法律で「gestion des affaires」が何なのかはチンプンカンプンでした。授業で例として提示されていたのが銀行員のおせっかいとかだったので、Oさんの説明で何とか要領を得ました。「la Repetition de l'indu」でも例として銀行のATMから要求金額以上の金が出てきたときとあったので、Mちゃん、Oさんの説明で完璧に納得いたしました。ちなみに、かようなケースではフランスの民法の場合、銀行から要求された場合には弁済せにゃならんそうですね(これはquasi-contratと言われる状況の一つだそうです)。
Force majeurが不可抗力ですか...。ようやく授業の際に教授が言ったジョークの意味が分かった。「delictuel」って、私の辞書だと「delictueux:違法の、犯罪の」としか載っていないのですが、同じ意味なのでしょうかね? 余談ながら、契約などで様式が不完全で無効となるようなものを、慣用的に「vis cache」と形容しておりました。「vis」は本来の「ねじ」以外に、「ちゃんとはまる」=「完備されている」という意味でよく用いるのだと級友は言っておりました。
chiffre d'affaireが「総売上高」だと最近知った私です。
実はメトロ7番は無賃乗車の常習犯が多いため、主要乗換駅であるシャトレで連日コントロールを実施しているのです。日本人旅行者の場合はキップを持っていない例が殆どないため、コントロールと言ってもせいぜいキップの提示を求められるだけです。住民はたいていクーポン持参ですので、カルト・オランジュを見せるだけです。でも、M田さんて、まったく旅行者に見られなかったせいか、キップを機械で調べられ、本当に改札を正規に通過したかチェックされたんですよ。まあ、これもさすがと言うべきでしょうか。
それはさておき(?)、M田さんにはいろいろな生活物資を運んで頂き、本当に助かりました。何しろ頼んだ品物が、つま楊枝だの針金のハンガーだのアイスマットだの得体の知れないものばかりだったので、X線チェックなどでご苦労があったのではないかと想像しております。この場を借りて改めてお礼申し上げます。
現在法学の授業を取っているのですが、辞書に載っていない専門用語が多く、結構難渋しています。そこで、法律に携わっている方に次の用語は日本語で何と言うのか教えて頂きたいのです。一応クラスメイトにも聞いたのですが、何分にもこれらはキーワードゆえ、いまいち納得しきれないのです。分野としては契約、つまりObligation des Contratsです。
先ほど夕食を済ませたのですが、今日のメニューは大根汁です。まったくもって、中華街にある「陳氏大市場」のおかげで、日本風食生活の材料には全く事欠きません。大根も一本が100円程度です。こういう環境を喜ぶか嘆くかはヨーロッパ生活に対するノスタルジーの差でしょうが、私は素直に住みやすくなったのだと評価しています。まあ、元々私は味オンチなので、極端な話し何を喰っても生きて行けると思うのですが、やはり喰い慣れたものをごく日常的に口にできるというのは、何はともあれほっとします。
あとはうまいキムチさえ見つけだせば、全ては揃うのだが。うまいキムチって、サンドウィッチにしてもうまいんですよ。この話しをすると、たいていオェーっという顔をされてしまうけど、本当にうまいキムチはパンにもマッチするんですよ!
私は基本的に米党なのですが、朝は遅起きのためパン食でした。でもって、パンといえばトースト、それも小学校の給食時や、朝のけだるい気分の中で、半ば義務的に胃に突っ込むものでしかありませんでした。かような不埒なイメージを一新してくれたのが横浜元町のウチキパンであります。
ウチキといえば横浜で一番古いパン屋、ということは、日本でも老舗の一つ。場所は外人墓地の下、元町公園に隣接したところです。もう何年も行ってないのでどういうシステムになっているか知りませんが、当時はとにかく焼いてから何時間かして売れ残ったパンは全て処分していました。私はほんの偶然から食パンを買ったのですが、それを食したとき、うまいパンにはバターもジャムも不要だということを思い知らされました。
新年をウチキのパンで迎えないと気が済まない浜っ子が多いらしく、年末になると新年用のパンの予約を受けていたような気がします。味といいシステムといい、今は一体どうなっているのでしょう? 誰か最近のウチキパンについてご存じありませんか?
でもやっぱり朝はできればあつあつごはんにキムチと納豆、それに豆腐とわかめの味噌汁がええなぁ。
飛んでしまったのは正確には今日ではなく、引越の翌日でした。
会計の授業の課題を出力しようと思い、プリンタの電源アダプタをコンセントに差し込みました。しかし、ブーンという鈍い音がするだけで、プリンタのパワーランプが全く点りません。その時は時間がなかったので仕方なくデータをPBに移してPBごと学校に持っていきました。
翌日原因を調べると、どうやら電源アダプタがおかしい。中を開いてみると、なあんとヒューズが吹っ飛んでいました。しかも基盤には125Vと書いてある。確かにそれまではトランス経由でつないでいたのです。
しかし、マニュアルには220Vで使えないとはどこにも書いていないし、それどころか終わりの方の規格には、フランス国内220Vと書いてあったのです。しかも、アダプタの裏には100〜となっているし、これでは誰が考えたって220Vで使えると思いませんか? ア○プルのバ○○ロー!
頻繁に使わなくとも、ないと不便なのがプリンタ。仕方なく、今日は必死にアップル製品の専門店を探しだし、電源アダプタを買ってきました。それが税込で約1300F(約3.3万円)です。まあ、日本で買っても2万円くらいだろうと思ったので、素直に買ってしまいましたが。
それにしてもパリの物価高には溜息が出てしまう。生活実感として、1F=21円程度が正常だと思うのです。ところで、今はドイツマルクがインフレ下で高騰中、こういう時はえてして大暴落を起こすもの。ですから、日本の口座からの送金も今は控えているため、運転資金が結構すれすれの状況です。パリの気候は穏やかさを回復させましたが、私の懐は木枯しが吹き荒れています。
鬼の撹乱を起こしまして、昨日などは一歩進む度に割れるような頭痛に見舞われました。遂に異国の地で医者の世話にならないとだめかと覚悟を決めましたが、丸一日ひたすら寝たら何とか復活しました。かなりひどい下痢にも見舞われたため、恐らくソ連風邪ではないかと想像しております。折悪くアパートの内装工事が始まってしまい、朝から職人さんが入ってくるわ、夕方帰ってくると溶剤の臭いがただよっているわで、我ながらよくこんな環境で回復したものだと驚いております。
パリは完璧に秋深しの様相を呈しており、冬物のセーターを着ることに何の抵抗もなくなってしまいました。日本が残暑に見舞われているのが全く信じ難い気がします。まあ、せみしぐれがなかったことも、いつの間にか夏が終わってしまったという感慨を深めているように思われます。
さて、フランス旅行者で一番苦痛なのは食事でしょうか?まあ、レストランのメニューなど、実は私も分からない単語の方が多く、未だに想像しながら注文しているという状況です。ですから、最低限の知識としては、魚か肉か、豚か牛かといった大本だけ覚えておいて、あとはその場で辞書を引くか、出たとこ勝負で注文してしまうかです。注文するときは、メニューを指差して、Ca et ca...で十分です。あとは注文の時のTPOをはずさなければ(語学力よりもむしろ重要)、特に困難な状況に陥ることはないでしょう。一応、今回はそれを示しておきます。
(1)人数を言うか指で示す(Nous sommes XX.)
適当な席に案内されるか指示されます。
(2)アペリティフの注文に応える
店:Qu'est-ce que vous desirez comme apperitif?
客:Pas d'apperitif. とか Une bouteil de vin rouge, SVP. ...
(これも身振りやメニューを指し示すかで十分)
(3)アントレを注文する
定食(Menu)はアントレと本菜の組合せです。アントレの内容は、サラダ、テリーヌ、スープなどで、リストの中から好きなものを一品選びます。これはCa et ca...(さ・え・さ)で十分。
(4)本菜を注文する
アントレと同様、リストから好きなものを一品選びます。なお、ステーキを頼む時、焼き加減は英語では通じないことが多いので、レア=saignant(せぇにゃん)、ミディアム=a point(あぽわん)は必須です。
(5)ゆっくり食う(笑)
(6)デザートを注文する
食い終わると敵はデザート(コーヒーを含む)の注文を取りに来ます。この時、デザートメニューが欲しければ、「かると、SVP」と言いましょう。注文は例によってCa et ca. そして、人指し指を立てて「L'addition,SVP(らでぃしおん、SVP」とやれば、お勘定を持ってきてくれます。
私は奥ゆかしいと感じてしまう。京都びいきだからかもしれませんが。そういえば、三国志の中でも劉備玄徳が徐庶に帰って貰おうとしたとき、家の者に「湯を点ぜよ」と命じる場面がありました。中国でも似たようなメッセージがあったわけですね。
パリっ子の間にも似た様なコミュニケーションは結構あるそうです。パリ在住12年という方が、以前そんなことをおっしゃっていたように記憶しています。生憎と具体例は失念してしまいましたが、こういう時はああしてくれというメッセージ、あういう時はこうしないでくれというメッセージというものがあるのだそうです。
はっきり言って、東京が世界一物価高というのは嘘です。これは明らかに指標の取り方が良くありません。現在の1F=25〜26円という相場では、総合評価としてパリの方が生活コストは高いでしょう。ただ、きりつめればいくらでもきりつめられる面があるので、生活の質を落とせばかなり安くすることは可能です。尤も、食料品だけ(!)は確かに東京より安いですが。
まあその話しはいずれするとして、取敢ずパリで一番安いと言われるEDというepicerieの価格例を示してみましょう。他のスーパーはほぼ2〜5割高といった感じです。
角砂糖 | (1kg) | 6.75 |
粉末スープ | (6食分) | 3.90 |
コーンフレーク | . | 4.95 |
地元コーラ | (1缶) | 1.45 |
バター | (0.5kg) | 6.70 |
牛乳 | (1L) | 3.70 |
オレンジジュース | (1L) | 3.95 |
卵 | (M6個) | 4.60 |
チョコムース | (4個) | 5.40 |
ヨーグルト | (4個) | 3.40 |
鳥肉笹身 | (0.3kg) | 10.90 |
人参缶詰 | (0.5kg) | 2.95 |
クレームカラメル | (4個) | 5.45 |
ベーコン | (0.3kg) | 12.32 |
調理済みじゃがいも | (1kg) | 5.30 |
骨付き豚肉 | (250g) | 10.80 |
いかがです?1F=25円で換算すると、異様に安いと思いませんか?なにしろ牛乳が1リットルで100円ですから。
現実問題として、企業の駐在員でもなければ、とてもじゃないけど外食なんて続けられませんね。昼のコースメニューは概ね60〜80Fと考えて下さい。円換算で1500〜2000円です。これにつくのはアントレ(サラダまたはスープ)とディッシュ1つだけです。レアール界隈の安いエリアでさえ40F前後します。セルフサービスでも35Fくらいにはなります。
東京では丸の内・大手町界隈で1000円前後ですから、今の為替ではパリの方が遥かに高いですね。私は在職中は日本○済新聞の社員食堂に通っていたので、昼は400円前後で済みました。
学生食堂CROUSは1食11.5Fです。学生はこれで自衛するしかありません。なお、ご存じない方のために説明すると、CROUSは各大学やGEの学食を経営する一種の組合(日本の大学生協に近い:CROUS=Centre Regionaldes Oeuvres Universitaires et Scolaires)で、大学、GE、専門学校の生徒であれば誰でもどこでも利用できます。チケットは全食堂共通で、場所によっては学生証を提示しなくても利用できますので、パリの食生活を安く済まそうと思ったら、そのての情報は欠かせません。11.5Fの中身は前菜、肉または魚、デザートまたはチーズですから、コストパフォーマンスはかなり高いと言えましょう。
CROUSは国際学生証でも利用できますが、1食18.4Fになります。
「試験に出る日本語」がもしあるとすれば、日経新聞を読めるレベルが一つの目安になるのではないかと勝手に想像しています。要するに社会や経済現象を理解する上でのキーワードということになりましょうか。
キーワードの例としては、aveu(自白)なんてのはともかく、corporel(肉体の:ただし経済用語では「有形」:immobilisation corporelle:有形固定資産)、creance(債権)、mandataire(代表者)、partimoine(遺産)とか。あと、bilanなんて「総括」としか覚えていませんでしたが、経済用語としては「決算書」という意味を知らないと悲惨です。動詞では、emprunter、entrainer、constaterなどは日常的に使います。これらは中級のテキストに出てますが。
実際、会社での経験がなければ授業にはまったくついて行けないと思います。私程度の語学力では全く未知の内容をフォローすることは不可能でしょう。正直言ってダイレクトに分かるのは60%程度で(これでも大分進歩したんですよ!)、後は経験から想像し、後で同級生に質問するということの繰り返しです。ただ、語彙は確実に増えているし、ヒアリングの方もかなり改善されているのは事実でしょう。それでもキーワードの欠如はまだ解消されていません。
ちなみに、アリアンスの方は8月でおしまいです。;-)
まあ、2ヵ月半の間、覚えた単語はやたら所帯じみた単語(やっとこ:pier debicheとかテーブルクロス:tapis de tableとか)か、妙に専門的な単語のどちらかのようですね。
部屋の方もようやく落ち着きつつあります。ええ、この場を借りて引越先の宣伝を少々(笑)。
ここはパリの13区なのですが、道の向こう側は5区なので、ほぼカルチエ・ラタンの中といっていいでしょう。ですから街の雰囲気は我々日本人がイメージする「パリ」そのものです。住民は大金持ちでもなく貧乏でもなくというクラスで、気取りがなくて親切だとの専らの評判です。東京で言えば、杉並の住宅地のような所でしょうか。
アパートの隣はパン屋、その隣が雑貨屋で、近くに24時間開いている銀行の自動窓口があったりして、生活の利便性もかなりのものです。また、メトロで2駅先に行くと中華街があるため、茶碗などの食器や醤油、豆腐などが安く容易に手に入ります。アパート自体は日本風に言うと2DKで、しかも部屋が振り分けになっているうえ(これはパリでは極めて珍しいそうです)、台所がかなり広いため、2〜3名は楽に宿泊できるでしょう。ムフタール通りも近くにあり、リュクサンブール公園もバスですぐ行け、レ・アールもメトロで1本なので、皆様方のパリ観光の拠点として最適な立地にあると思います(笑)。
パリのカフェの数は確かに減少しているような気がします。そのいくつかは、何とファーストフードに化けているんですね! たまに典型的なカフェのつくりをしたマクドナルドに出くわして(オステルリッツ駅の近くなど)、えらく面くらうことがあります。
あと、大学やGEがパリから追い出されていることも、パリのカフェ受難を招いているような気がします。移転先はたいてい郊外の新都市で、シャレたカフェよりもスタンドやファーストフードが多数派です。まあ、カフェは一種のインフラみたいなものですから、新興都市に欠けていてもやむをえないのでしょうが。
住民そのものもパリから徐々に郊外に移り、メトロではなくRERで通うパターンが増えています。そうすると、カフェではなくて駅のスタンドでコーヒーを引っ掛けるケースが多くなります(私もそのくち)。まあ、都市問題が古き良き文化を押しやる例がここにもあるということでしょうか。
カフェイン離れはどうでしょうか...。私の級友は結構コーヒーもコーラもよく飲んでいますが、実際のところは良く分かりません。
駐在員事務所移転(笑)ですっかりてんてこまいしてしまいました。まだ荷物が散乱している部屋からのアクセスです。なぜかこのところ引越や大移動の度に雨に見舞われ、今回も3日引越・移動日があって3日とも雨です。まあ、家具の輸送の時だけは晴れましたが。
この雨が実は氷雨で、最近3日間の寒いことといったらありません。今日はついに冬物のセーターを着て一日過ごしました。また、午前中晴れていても午後から雨というパターンが続いており、アフリカからの留学生がしきりとボヤいておりました。彼との会話の一部を再現すると、
我曰く:Chaque fois que je demenage, il pleut.
彼曰く:Ne demenage pas... (Bosso)
我絶句
これは実際の会話でした。
私も某日むしょうに辛口カレーが食いたくなり、後先考えずに京子食品でカレーのルーを買い、近くのスーパーで野菜と肉を調達したのでした。当然電気釜なんてありません。いざとなったら煮込めばええわいとたかをくくっていたのです。んで、いざ炊こうというとき、蓋のある片手鍋があることを思い出しました。そしてしっかり蓋をしめて、熱量を中くらいにしたら結構うまいこと炊けたので驚いてしまいました。まあ、鍋で御飯をたくときのコツは水を少々多めにすることでしょうか(笑)。
ところで、米の銘柄ですが、私が近くのスーパーで買ってきたものはイタリア米でした。粒の感じは日本の米に結構似ていたと思います。味の方は学食や社員食堂の味といったところでしょうか。私の好みからすると、やはり日本の銘柄米が圧倒的に好きで、カリフォルニア米にしてもイタリア米にしてもどうしてもいまひとつの感をぬぐえません。まあ、あまり贅沢はいえませんが。
第一に、社会的な問題、あるいは経済的な問題そのものの量や切実さが、日本の場合相対的に少ないと言えると思うのです(あくまでもヨーロッパの国と比較してですよ!)。移民の問題にしても、内戦の問題にしても、ヨーロッパでは直接収入や治安に響く問題ですから、誰でも敏感にならざるをえない側面があるような気がします。
第二に、ヨーロッパの階級社会ではエリートが極めて大きな責任を負いますので、その一員は絶えず多くの事柄に対して問題意識を持つ必要性があるように思われます。これはフランスよりもイギリスの方が顕著ではないかと想像しております。
第三に、特にフランス人は喋るために生きている民族ですから(笑)、特に内容がなくてもだらだらと話し続けるテクニックに長けているような気がします(あくまで私の印象ですよ!これは)。実際、会話に「間」が入ることをよしとしない連中ですから。従って、あるテーマで彼らが活発に議論したとしても、本当に内容があるか否かははなはだ疑問です。
結局何が言いたいかというと、どうもフランス人などは何かポンをテーマを与えられたとき、それについてのべつまくなしに話し続ける習慣なり必然性が、日本人より濃厚なのではないかと思うわけです。もともと問題意識は本人が自覚しなければ致し方ない問題で、そういう意識を抱く必然性が薄いと、問題意識が希薄でも仕方ない側面があるような気がするのです。
まあ、いつまでもそんな状態が続くかどうかは疑問の余地がありますが。
夏授業が始まって1週間経ちましたが、やはり語彙力の不足を痛感します。特に内容が専門的なもの(会計とか法律とか)が多いため、抽象語や専門用語の知識不足が露呈されています。その時ふと思い出したのが、入試の時にやっかいになった「試験に出る英単語」でした。
これは本当に役に立つ単語集でした。いわゆるビジネス英語で必要な語彙は、あくまで私の経験でしかありませんが、かなりの量はこの単語集でカバーされていたように思われます。会社に入って何度これを見直したことか(その都度、記憶力の衰えを痛感させられましたが)。そのフランス語版があればどれほど楽だろうと思う此頃です。無論、フランス語でも基本単語集などはありますが、大学や大学院の授業で必要な語彙とはややズレているような気がするのです。かと言って、時事フランスなどは余りにも専門的で領域が狭すぎるし、結局帯に短し、ってことでしょうか。
受験英語と言うと否定的な見方をされる事が多いですけれど、有効に活用しようと思えばかなりできる部分があるような気がします。その点、フランス語は入試の洗礼を受けていないだけに、単語を覚えるにしても本当に手探りという感じです。
92年9月になると、ポンピドー・センター近くのステュディオから13区のアパートに引っ越し、これでほぼ巴里での生活環境が整ったことになる。このアパート自体は7月初めの段階で見つけたのだが、先住者が8月いっぱいまで別の人に又貸ししていたため、こちらに越せるのが9月になってからとなったのだ。まあ、それだけここが気に入ったので、わざわざ別のところに短期間住んだわけだわけだ。
学校も含めた生活には、まだまだ慣れたとは到底いえない。なにしろ周囲の会話スピードについていけない。あとから振り返るに、この時期が精神的にいちばんキツかったように思える。アパートに帰っても一人だけ。学校に行っても会話がはずむわけでもない。授業はそれなりにしんどい。泣きたくなる、とまでは言わないが、ハッキリと食が細くなった。事実、巴里に着いたときと比べて体重が8キロ近く減っていた。
そうしたなかで、8月の一時帰国によって外国語フォーラムのコアメンバーたちと顔見知りになり、電子会議室でのコミュニケーションがいっそう心和むものとなった。さらに、フォーラムの最古参メンバーのM田さんが9月に休暇を利用して巴里を旅行することとなった。その人とは一時帰国のときにも顔を合わせ、その席で巴里旅行の話しを聞いたので、こちらからぜひ宿泊してくださいと持ちかけたのである。9月のもっともしんどい時期に顔見知りの人と日本語で会話をできたことが、結果的にいちばんきつい時期をしのぐ一助となったことは間違いない。
到着の前には、いくつかの品物の輸送を電子メールで頼んだ。わたしの巴里滞在は合計7年に及んだのだが、その間、M田さんが巴里を訪れなかった年はないし、複数回の訪問があった年のある。訪問のたびにいろいろな品物を持ってきたもらったわけだが、いつしかそれを「救援物資」と呼ぶようになっていた。
(2006.2.27記)