21世紀の日記
20世紀の日記

*この日記について

92年10月の日記は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラム・フランス語会議室」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。
当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。


1992年10月30日 仏語版情報処理関連用語−AI編−

 確かに英語を用いる例が多いですね。
 ただ、我々外国人が頭を抱えてしまうのが、単語は英語でも発音はフランス語風なので、かえってわかりずらいということです。 さすがに「だぁたぁばーず」はすぐ分かりましたが、「てぞぉりゅ」なんて考えこんじゃいました。
 今回は少ないですけれどAI関連用語をご紹介します。

appariement de formespattern matching
cadreframe
formepattern
intelligence artificielleartificial intelligence
moteur d'interferenceinference engine
systeme expertexpert system

 前回ご指摘の「photostyle : light pen」ですが、原本のミスプリかもしれません。機会を見て確認してみます。

1992年10月29日 語学学校のテキスト

 フランスの語学学校でも、日本と同様第3巻がNIVEAU SUPERIEURです(テキストはEspace、でもNSFでも同様)。ちなみにそれより上のレベルはというと、例えばアリアンスの場合は通訳の養成や、外国人のフランス語教師養成コースとなっています。ですから、フランス語で直接食っていく人以外なら、取敢ずDELF A6が最高峰と考えても宜しいのではないでせうか?
 大学で要求しているレベルも実際はNIVEAU 3みたいです。DALFがあればどうのという建前はありますが、最低レベルがNIVEAU 2とされており、現実に2巻修了レベルで留学しちゃっている人もいます。勿論入学後は物凄いハンディを負います。
 フランス語力は政府などが要求する建前と、現場の対応が大幅に異なります。特にGEは入学後に語学力をつければいいとする所が増えています。何しろ彼らは日本人留学生がほしいので、今は有利な時期ですね。私も実は英語での面接をただ一度受けただけでした。
 しかし、Kさんのレポートを見ると、私が受けても絶対に合格できなさそうで、少し青くなってしまいました。これ本音。自分の語学力など、単に場数と専門用語に支えられているのだと痛感させられました。

1992年10月28日 仏語版情報処理関連用語−決定版!−

 Iさんがよだれどころか鼻血を出しそうなパンフレットが見つかりました。題して
"Glossaire des Termes Officiels de l'Informatique"(Delegation Generale a la Langue Francaise)
 発効しているのはオカミであります。1989年の第二版が手に入りました。今まで掲載しなかった用語52を一挙にお知らせします。全て仏>>英です。ちと長いので、興味のない方は読み飛ばしあれ。

francaisanglais|francaisanglais


|

antememoirecache memory|memoire tamponbuffer
d'arriere-planbackground|messagerie electroniqueelectronic mail
autonomeoff line|microprogrammefirmware
bitbit|mode dialogueconversational mode
boguebug|mot clekeyword
boule de commandetrackball|ord.individuelpers.computer
clicherdump|photostylelight pen
codetcode element|processeur vectorielarray processor
deboquerdebug|progicielpackage
defilementscrolling|relancerrestart
de secrousback up|requeterequest
devideurstreamer|reseau localLAN
ecran tactiletouch screen|restaurerreset
en texte integralfull text|resumeabstract
fusionnermerge|revisionrelease
genie logicielsoftware engineering|serveurOL data service
implanterimplement|spoulespool
informatique*EDP|surbrillancebrightening
instaurerset|survolbrowsing
inviteprompt|tableurspreadsheet
en ligneon line|teletraitementteleprocessing
listagelisting|test de performancebenchmark
manche a balaijoystick|tiragehard copy
mappemap|traitement de texteword processing
marquagehignlighting|visudisplay device
memoire de massemass storage|visualiserdisplay (*verb)

(*)「informatique」はフランス独特の用語ですが、名詞ではEDP。
 他に、Bull編集の「Lexique Anglais-Francais de l'Informatique」なんていうのもありまして、これで#984(きのしたさん)ご指摘の用語を調べると、以下のような対応になります。なお、ワークステーションはいずれのパンフにも載っていません(本来これはゼロックス用語ではなかったかな?以前、
 Path → chemin
 String →suite, enchainement
 Magnetic tape → bande magnetique
 bit → element, chiffre, position binaire
 ただし、単位「bit」は前掲のようにフランス語でも「bit」です。
 決定版を出してしまったので、次回以降は人工知能関連用語ほか、落ち穂拾いを細々と続けてみたいと思います。

1992年10月27日 ワタシハドコ?

 昨夜の風で紅葉していた木々もかなり葉を落としていた。今日も相変らずダウンジャケットの必要な気温である。ただ、今月上旬のように太陽が全く姿を現さないという日はさすがになくなり、空気は冷たいとはいっても時折差す日差しはまだ多少は温い。
 今日は帰国売りを漁りに在仏日本人会を訪ねた。目ぼしいものがなかったので、即図書室で新聞と週刊誌を読み漁った。1時間半ほどしてから外に出て、いきなり凱旋門やFouquetが目に入ると、「そうか、ここはパリなんだ!」と今更ながら気づいた。日本人会に来る前は例のごとくJUNKUで漫画の立ち読みをしてきたので、頭の中はすっかり「日本」にスイッチされていたらしい。パリにいることを認識してからも、誰かに話しかけられたらどうしよう、というもの凄い不安にかられてしまった。そして、自分がまがりなりにもフランスで生活し、多少の会話なら不自由しないことを思い出すのに結構時間がかかった。
 どうも世の中が便利に成り過ぎて、「ワタシハドコ?」という自問をしばしば繰り返してしまう。何しろ通信で日常的に日本の友人達と接しているし、一昨日の夕食はギョーザにタクアン、小魚の佃煮にワカメの味噌汁である。しかも出不精の私は昼まで寝過ごしてしまったのをいいことに、一日外出せずに三島由紀夫の「不道徳教育講座」をパラパラと繰っていた。本当に東京の生活とどこが変わっているのだろう?
 便利になると疎外感や孤立感からは無縁となるが、時々変な錯覚に陥るのが困りものである。

1992年10月25日 F1日本GPの注目度

 さてそろそろ寝ようと思ったら、突然、明日が後輩の結婚式であることを思い出し、急ぎメッセージを作り始めた。そして、ファックスでそれを送っているうち、TF1の深夜スポーツ番組が始まった。
 F1の好きな方ならご存じの通り、今日は日本GPである。既に全てのタイトルが決まってしまったあとなので、さぞやクールな扱いかと思ったら、かなりまとまった特集をやっているのに驚かされた。今シーズンは地元ルノーのエンジンを搭載したチームが圧倒的に強いシーズンだったので、TF1の放送などは実際かなり舞い上がっていた感があった。今度の日本GPはいわば消化ゲームなのにこの注目は、やはりホンダ最後の地元レースであるためであろう。ホンダの地元でたたきのめし、引導を渡してやろう...いやいや意地悪な推測はしますまい。フランス人は確かにホンダには敬意を抱いているのだから。
 番組では冒頭日本のことを「日出ずる国−Soleil levant」と表現していた。私の感覚だと、フランス人はこの言い方を結構気に入っているような気がする。その後は日本でのF1フィーバーぶり、とりわけセナの人気がもの凄いこと、当日は約1,000万人がテレビ中継を見るであろうことなどがかなり詳細にレポートされていた。
 さて、ヨーロッパ・ラウンドではパリからせっせと速報を送っていたが、今度はこちらが知らせて貰う立場となった。明日の朝、寝床から抜け出すころには結果が判明しているのであろう。

1992年10月23日 レター集

「50 Million de Consommateurs」という雑誌をご存じでしょうか? これはInstitut Nationale de la Consommasionが発効している雑誌で、いろいろな消費財、サービスの比較レポートが月刊誌として販売されています。節税の方法や技術的な解説記事まであり、中々面白い雑誌だと思います。
 月刊誌以外にNumero Pratiqueという別冊も出版されているのですが、92年9月号が「160 Lettres pour regler vos litiges」という特集で、保険会社へのクレームとか、税金延納の依頼文など、フランスでの日常生活で消費者が企業に送る手紙の書式が160通り収録されています。
 この雑誌は日本でも入手できるので、興味のある方は丸善とか紀伊国屋などに問い合わせてみて下さい。別冊は1部40Fです。

1992年10月22日 仏語版情報処理関連用語−その3−

 幸いにしてまだネタは尽きませんでした。今日の授業で出てきた用語を中心にご報告致します。

logiciel de base基本ソフト
logiciel d'application応用ソフト
langage de commandeJCL(ジョブ制御言語)
instruction d'appel systemeシステム・コール命令
amarcageブート
pilote peripheriqueドライバ(周辺機器制御のシステムソフト)
traitement par lotsバッチ処理
multi-tache,multi-utilisateurマルチタスク・マルチユーザ
etrants fatalsデッドロック
noyauカーネル(OSの「核」)
E.A.O*CAI(コンピュータ支援教育)
C.A.O*CAD(コンピュータ支援設計)
C.F.A.O*CAD/CAM
Catalogueディレクトリ
pisteトラック(ディスクの「トラック」)
ordinateur tolerant en panneノンストップ・コンピュータ

 *E.A.O : Enseignement Assiste par Ordinateur
  C.A.O : Conception --
  C.F.A.O : Conception et Fabrication --
 なお、「directory」を意味する用語が「catalogue」以外にもあったと思いますが、ちと失念してしまいました。また、ノンストップ・コンピュータは確かタンデムの宣伝文句であり、一般的には「フォールト・トレラント・コンピュータ」であったと思います。フランス語はそれを単純に直訳しただけです。

1992年10月20日 ローラーブレード他

 私は第一次ローラーゲーム・ブームの経験者であります。
 第一次:ロス・アンジェルス・サンダーバードを応援した。
 第二次:東京ボンバースを応援した。
 西海岸は温かそうですね。パリは先週の木曜からついに最高気温10度に達しなくなり、朝は2、3度です。私ももう冬のコートを着ています。先週は日本にダウンジャケットを送ってくれと頼みました。
 でも、あたしゃ寒いの好きですんで、結構満足しています。

1992年10月19日 フランスの間接税

 さて、ご存じの通りフランスのTVA(付加価値税)は18.6%が標準税率であり、全ての財・サービスの取引にこの税率が適用されます。ただ、自動車、宝石などの奢侈品にはこれより高い税率が適用され、食料品などの日用品には5%程度の低い税率が適用されています。日本の消費税率3%に比べると異常に高く感じられますが、国別比較で見れば日本がひときわ低いだけで、欧州では概ね10%代であったと思います。ただ、この税率の整合がEC経済統合の際の大きな問題にもなっています。
 実感ですが、たいてい内税なので18.6%を「支払っている」という感覚はほとんどありませんね。それにレストランでもサービス料込みの料金が表示されているので、請求額以上のチップを払ういわれはありません。まあ、サービスがよければ10F程度置いていくくらいです。従って、表に80Fって表示があればデザートなどを追加しない限り80Fの支払でいいわけで、「この上税金やチップまで!」と憤慨することはありません。
 でも、現実には18.6%の税金と15%程度のチップをしっかり徴収されているのには代わりありませんが。
 なお、フランスを旅行される方は価格に「F」ではなく「HT」とか「FTTC」と表示されているのを見かけませんでしたか? HTとあればHors de Taxe、すなわち税別の料金です。ただ、こういうケースは比較的少なく、たいていは税込み、すなわちFTTCです。
 電気や電話の使用料金の請求書では外税形式でTVAが表示されています。この時ばかりは正味の使用料の他にかかる税金の高さに溜息がでてしまいます。いずれにせよ、日本の消費税反対運動を欧米の消費者団体がまともに取りあわなかったというのも、彼我の税率の差を思うと納得がいきます。
 あと、EC型間接税は全て請求書(フランス語ではFacture)で明記されるので、取引が全てガラス張りになるという側面もあります。その結果、企業間取引でも小売りでも、あやしげな値引きやリベートなどがかなり困難となりますので、例えばパリの量販店に行っても、日本でおなじみの原価割れした値引きにおめにかかるのは極めて稀といえましょう。この点、日本のサラリーマンの反対は完全な自己矛盾であったわけですが、小売り側がEC方式の反対したのには合理的根拠があったわけです。
 ところで、私がアメリカに行ったとき、レストランのチップは伝票に書いてある税金の倍を置いていけばいい、と聞いた覚えがあります。その時、レストランの税率は8%程度であったと記憶しております。場所はNYですが。あと、ブロードウェイあたりの量販店はみな税別価格表示で、「これは安い!」と思って買ったディスクマンが税込みだと日本で買ったほうが安かった、何てこともありました。

1992年10月18日 t'as raison.

 ついでながら、若い連中の会話だと、後に続く動詞によっては「je」が限りなく「シュ」や「ジ」に近づきつつあるようです。元々「e」音は弱い音ですから、はっきり「ジュ」とやるよりも、極力ソフトに表現したほうがよいようです。例えば、「s」や「f」が続く次のような例が当て嵌まります。
 ただし、これはあくまで若い連中の言葉使いですから。
 je sais pas. 「(ジ)セパ」
 je fais rien. 「(シュ)フェリアン」
 je suis alle ...「(ジ)スイアレ...」「(ズ)スイアレ...」
 あと便利な表現を一つ。「こういうやつ」ってな感じの表現を身振りを交えてするとき「comme ca」を使いますが、「un truc comme ca」何て言い方もよくします。「truc」には「要領」とか「あれ」なんて意味が辞書に載っておりますが、これが実に便利な名詞で、「あれをこうしてさぁ」なんて会話にはぴったりくる名詞であります。

1992年10月17日 フランスの運転免許減点制

 フランスの交通違反も日本と同様に減点制が採用されています。昨日送られてきた在仏日本人会のチラシによると、先月その改正案が政府から提出されたそうです。何でも持ち点が現行の6点から12点に引き上げられる代わりに、重大違反の減点数も倍になるそうです。では、何が何点か?政府案の一部を提示してみます。

 6点:ひき逃げ、アルコール検査拒否、偽ナンバー、免亭中の運転 他
 4点:40kmオーバー、信号無視、高速道路での逆走、無燈下走行 他
 3点:30kmオーバー、車線変更禁止違反、初心運転中の最高速度違反 他
 2点:20kmオーバー、追い越しをかけられたときの加速
 1点:20kmまで、対向車に対する燈火妨害、二輪はみだし運転

 複数の違反が重複しても最高8点まで、また、チャンスは2年に1度だそうですが、当局の実施する講習を受けると4点取り戻せるそうです。ただ、講習の実費は1500Fします。
 議会での可決は早ければ11月、遅くとも来年1月頃のようです。

1992年10月17日 Vous vendez vos livres?

 10月は新学期のシーズンです。パリの大学のある地区では、いま新入生達のバカ騒ぎの真最中です。
 9月は新学期直前ということもあって、本屋がえらく繁盛する季節でもあります。ただ、繁盛の内容が必ずしも「売る」のに忙しいだけでない場合もあるところが面白い。
 9月某日、「地球の歩き方」にも載っているサンミッシェルのジベール・ジョヌに本を買いに行った時のこと、目的のジャンルのある4Fにエレベータで昇ったら、降り口にいた店員からいきなり「Vous vendez vos livres?」と聞かれてあっけにとられてしまった。
「オレは本を買いにきたんだぞ!」
 一瞬、動詞Vendreの意味が本屋では逆転しているのかと思ってしまった。まあ、これは冗談として、この時期は卒業生がほとんど使わなかった教科書を売却するため、古本を取り扱っているジベールがそれらの人でごったがえし、その整理をしていたというのが真相でした。
 いかにもフランスらしいのが、店の前で直接取引をしようとする学生の群れであります。校舎内にも未だに「売る!」のはり紙が掲示板をにぎわしているところです。

1992年10月16日 人生は麗し

 確かに恋愛と文学(そして映画もかな?)はある年代に達しないと分からないこともあれば、逆に若いときでないと分からないものがあるような気がしますね。無論、その人の経験の蓄積によるのでしょうが。
 私にとって、30過ぎで面白さが多少なりとも分かるようになったのは「源氏物語」でした。10代、20代と全く無味乾燥とした世界でしかなかったものが、なぜか一昨年読んでみたら微妙な人間模様が実に鮮やかに描かれていることを発見し、正直言って愕然としました。紫の上を失った時の光源氏の悲しみは、恐らく20代の頃では理解できなかったと思うのです。
 反対に、20代にあれほど読み漁ったヘッセが今は全く読めません。もともと私は1冊を何回も繰り返し読むほうなのですが、ヘッセについてはある時期からピタリと手が向かなくなってしまいました。私にとってヘッセは20代の感性でなければ味わえなかったのかも知れません。
 今はカミュの乾燥した世界と三島由紀夫の人工美という、どちらかというと無機質の世界に凝っております。映画ではトリュフォの倦怠感に惹かれております。果たして人生にくたびれ果てた年代に達し、これらの中に何を発見するのか何となく楽しみです。

1992年10月16日 教科書と実際との違い(ちと反省)

 挨拶などで実際に、といろいろ書いたわけですが、いささか反省していることがあります。
 教科書に載っている表現は最も基本的な形であり、私が「あまり使わない、実際はこうだ」というのは、フランス、特にパリにおいて極めて日常的な生活場面を想定してのことです。ですから、現実に全く使われていない表現ばかりを教科書は教えているのだ、と思ってしまった人がいたとしたら、これは私の不十分な表現による誤解です。
 実際、サン・フロンチエールをはじめ、フランス語の教科書はかなりよく練られていると思います。少なくとも旅行など趣味の範囲で接する限り、教科書の表現がスタンダードであることは間違いありません。例えて言えば、教科書には「おはようございます」と書いてあっても、日常生活場面では「おはよ!」しか使わない、ということであるわけです。でも、旅行者であればやはり「おはようございます」を使うほうが賢明ですよね?表現の基礎としても「おはようございます」でしょう。
 サン・フロンチエールの1巻、2巻のディアログは極めて実用的であり、それらの表現を覚えていれば、少なくとも日常生活に不自由は感じないといえるでしょう。

1992年10月16日 仏語版情報処理関連用語−その2−

 まだネタが尽きなかったので、その2をお届け致します。なお、和英ないし仏英はほとんど同じ内容なので、今回は英を省略しました。

systeme d'exploitationオペレーティング・システム(OS)
champフィールド(データ・"フィールド")
langage de 4e generation第4世代言語(4GL)
systeme de gestion de B.Dデータベース管理システム(DBMS)
modele hierarchique階層モデル
afficher a l'ecran画面表示する
compilateurコンパイラ
drapeauフラグ
memoire viveRAM
memoire morteROM
etude prealableフィージビリティ・スタディ(FS)
carte mereマザーボード
memoire principale主記憶
temps d'accesアクセス・タイム
cout de stockage au bitビット単価

 さて、前回のお問い合わせに対するお応えと一部訂正があります。
 >byteとoctet
 octetは8bitsの意味であり、厳密には「byte」の代わりに「octet」を用いているわけではありません。結果として、フランスでは「byte」という言葉を(公式には)取り入れていないということです。(1byte=8bitsというのはANSIで決められていませんでした?)
 >fichierとdossier
 これは私の一方的勘違いで、「dossier」を「ファイル」の意味で用いることは情報処理の世界ではありません。従って、次のように訂正いたします。
 fichier(仏)
 file(英)
 ファイル(日)
 Datasetというのはあまりに*BM的でしたね。 ちなみに、MacOSではフォルダーのことを「dossier」としています。
 なお、このシリーズ(?)で示している単語の情報源は私が受けている授業であり、大本は工学系GEの教授です。

1992年10月15日 回数

 挨拶も確かに地方ほど時間をかけているそうです。ちなみにアンブラセの回数はラテン系の国では偶数回、あるスペイン人の説によると東欧の一部では奇数回だとのことです。パリだと偶数回の最小、すなわち左右1回ずつの合計2回ですが、たまに左右2回ずつという例もみかけます。

1992年10月14日 車内検札

 メトロの駅で検札しているのは何度も見ていました。ただ、SNCFの車内検札は今日が初めての経験でした。
 RER A線に乗っている時のこと、例のごとくうつらうつらしていたのですが、前の方からAOMのキャビンアテンダントのような制服を着た男女が数人やって来ました。小切手帳のようなものと、ハンディ端末の様なものを持っていたので、検札に来たというのは一目瞭然です。メトロと違って駅間が長いため、車両の乗客は全員チェックされました。
 で、私の座っていたボックスでも一人只乗りがばれ、罰金90フランを支払っておりました。車内をみまわすとやはり何人か引っ掛かっており、概ね10人に一人くらいはうっかりかちゃっかりをしていたようです。
 ただ、例えばParis市内とCERGY間は片道20フランなので、この程度の検札頻度と90フラン程度の罰金ならば、圧倒的にただ乗りをした方が得ですね。

1992年10月14日 ハンバーガーの値段他

 今日の授業は異様に退屈であったため、右隣のThomasは私のペンを分解しては組み立てるという作業をあきもせず続け、反対側のPatrickは請求書を整理しては小切手を切っていたりしていました。で、Patrickの隣にいたMarie-Pierreは何をしているのかと思ったら、なんとカタカナの練習をしていたのであった。一瞬目が合った後、彼女から「シとツはどう区別するのか?」というメモが届いたのであった。

1992年10月14日 挨拶、その実際は?

 >Bonjour. Bon soir. Bon apres-midi.
 日が出ているうちはBonjour. だから6月だとほとんど1日Bonjour. で終わってしまう。Bon soir. との区分けは晩メシ時か否かを基準にするのがいいみたいです。なお、Bon soir. は「さよなら」としても良く使われます。Bon apres-midi.は完全に「さよなら」の意味です。週末前ならBon week-end.、課題がたくさんだされた週などは、「Bon week-end et bon travail!」何て言ったりします。
 >Bonne journee. Bonne soiree.
「さよなら」の意味を明確にする時は女性形を使います。買い物などをした時、きさくな店員が帰り際によく「Bonne journee, Madame!」とか言います。
 >Au revoir. A bientot.
 Au revoir.って、文字通りだと「再び会いましょう」ですけれど、ニュアンスとしては「それでは失礼します」というのが一番近いような気がします。フォーマルな場とか友人以外との電話などではやはり圧倒的に「Au revoir!」です。店の店員も「Au revoir.」が一般的です。先生に対してもAu revoir. あるいはせいぜいBonne soiree/journee.です。
 A bientot. になるともう少し親しい関係でしょうか。つまり何度も会う機会がある人と。その日再び会う場合は「A bientot, tout a l'heure.」です。
 >Salut! Ca va? Comment allez-vous?
 前にも書いたように、友人間だと会うときもさよならの時も「Salut!」が圧倒的。そして、会うときは「Salut! (prenom) Ca va?」と言って握手というのが通常の「儀式」でしょうか。挨拶として使うときは、「Ca va?」はPrenomを伴って言う、逆にPrenomで呼び合うような関係なら「Ca va?」を使うと覚えておけばいかがでしょう?「Comment allez-vous?」は「vous」ですから、それなりに丁寧な言い方になります。
「et toi?」と聞き返すよりも、両方がほぼ同時に「Ca va?」と言い合うケースが多いようです。無論、「et toi?」と聞き返すことに何ら問題はありません。
 >Vous avez l'heure?
 時間を聞かれるときはほとんどこれですから、この表現が一般化しているのでしょうね。私が習ったときも「Quelle heure est-il ?」でした。

1992年10月13日 三つ巴キマイラ他

 クラスの連中の名前を何気なく眺めていたら、
 Christine-Marie、Marie-Pierre、Pierre-Martinという複合名に気づいてしまった。こういう連鎖を三つ巴キマイラと呼ぶのだらうか。
 今日、RER A線でまた「おわらい型」おこもさんに遭遇してしまった。ほんの2週間前にデファンスで見かけたおじさんなので、どうやらA線を縄張りにしているらしい。例によって受けまくっており、私の後ろに座っていた女性は本当に腹をかかえて笑っていた。残念ながら私の能力では何が面白いのか理解できなかった。ただ、最後に天気予報を妙な節で伝えていたのは分かったが、一番受けていたジョークのところでは寝たふりをするほかなかったのがつくづく残念である。

1992年10月13日 20フラン硬貨

 今日始めて新登場の20フラン硬貨を見ました。デザインは10フランとほぼ同じで、一周り大きいだけですので、これからフランスを旅行される方は間違えないよう気をつけた方がよさそうです。

1992年10月12日 水漏れ

 今日は大トラブルを犯してしまい、実は少々青くなっているところです。遂に「水漏れ」をやってしまったのですよ。それも加害者として。(;_;)
 フランスのアパートは新しいところを別にすればたいてい排水設備が乏しく、洗濯機の排水はバスタブに流して行います。私の所もそうです。それで、今日洗濯をしている時、途中で電話をしていたら、突然階下に住んでいる女性がやって来て何やら騒いでいるのです。なにせ相手はかなりパニクっていて相当な早口だったため、内容ははっきり言って分かりませんでした。取敢ず「今電話中だからちょっと待ってね」と言って対応しました。
 電話の後トイレに入ろうとしたら、何か異様な熱気がこもっており、下をみたら一面水浸し。排水のホースがバスタブからはずれ、勢いよくお湯をぶちまけていたのです。床上1cmはたまっていたでしょうか。
 とにかく蛇口を閉め、それからぞうきん代わりの特大バスタオルで床の水を吸い取り、何とか洪水を収めたと思ったら、今度はドアを激しくノックする音。また階下の人かと思ったら、今度はおまわりさんなんですよ。それも軍服みたいな制服のSPです。どうやら彼女は私が状況を理解できないと判断したらしく、警察に助けを求めたようでした。
 おまわりさんが来ても水の流出が止ったかどうかを確認しただけで、何ら厳しいそぶりもなく、調書をとる何て事もありませんでした。事が済んで階下に行った時も、特に大きな被害はないから心配しないでと彼女は言ってくれました。
 後からレポートの確認に来た同級生に事情を話したら、こういうことは日常茶飯事なので全て保険が解決してくれると言うのです。しかし、私は安い学生保険に入るつもりが、学校の事務手続きの遅れのためまだ保険未加入でした。このことを話すとさすがに彼もそれはヤバいかもしれない、明日すぐ保険加入手続きをした方が言いといっておりました。何でも被害者が保険に加入していればそれで話しは済むそうですが、万一彼女も未加入だと全額私の負担です。
 ちょっと見た感じ確かにひどい水漏れはなかったのですが、これから果たしてどうなることやら...。

1992年10月12日 パリのおこもさん

 パリではおこもさんも結構「主張」しますね。割合とパターンが決まっていて、いつかその代表例をアップしようと思っているのですが、何しろメモでも取ろうものなら取材費を請求されてしまいますので、30代の記憶力ではチト厳しい。
 でもだいたいこんな感じが多いようです。
 Medames et Messeieurs, excusez-moi de vous deranger. Je vis seule avec*** enfant(s) sans travail, sans ressourses. ....
 この続きはまだ覚えていないのですが、たいていはホテルに泊ったり、レストランで食事をする金を下さい。小銭で結構です、という感じのようです。
 おこもさんのタイプはいくつかに分かれるようです。
(1)主張型
 これはひたすらお金ちょうだいのタイプと演説をぶってカンパを求めるタイプに分かれる。ひとしきりの主張をした後は、手の中の見せ金をジャラジャラならしながら車両の中を縦断する。一駅一車両を渡り歩く。見た感じ、せいぜい1車両で数フランの稼ぎ。
(2)おわらい型
 ドアの近くで突然ラジカセを鳴らし、それをBGMにしてヨタ話を始める。間に詩を交えたりして、結構受ける事も多い。稼ぎはどれだけ笑をとるかに拠るが、こういうタイプはかなり熟練しており、多いときは一度に数10フラン稼ぐときもある。あるとき私の前で爆笑していた人は、彼にありったけの小銭(20フランほど)を渡していた。
(3)だまって手を差し出す型だまって手を差し出しているだけ。中には地面に「主張」を書いていたり、犬をそばに従えている例もある。さすがに稼ぎは悪そうで、ちょうと覗くと20サンチーム硬貨が十数枚あるだけである。
 あと、おこもさんではありませんが、音楽で稼ぐ若者達も取締にメゲず頑張っています。先日はRERの中で4人編成でジャズを聞かせてくれた連中がおり、その時は私も5フラン提供しました。一般的傾向として、ロック系よりジャズ・フュージョン系、ギターよりもバイオリン、弦楽器よりも管楽器の方が稼ぎは良さそうです。

1992年10月11日 日本語教材について

 MARIE-PIERREはまず会話を習ってから漢字も覚えようという予定だそうで(この順序は私が勧めた)、日本語をある程度マスターしたら、その次は中国語にもトライしたいと言っています。ですから、日本語についてはかなり本格的に取り込もうとしております。ただ、それはあくまでビジネスや趣味での範囲であって、日本や日本語の専門家になろうというわけではありません。そんなわけですから、基礎をみっちり勉強できるような教材が良いのではないかと思います。INALCOにも通うみたいですね。
 教材は英語でも構わない由です。また、日本で一般に入手可能な教材であれば、八重洲ブックセンターのオンライン・ショッピングは海外居住者でもサービスを受けられますので、書名、出版社、著者、価格等が分かれば入手できます。なお、MARIE-PIERRE以外にも、同級生最年長のPATRICK(彼はフランス陸軍の現役将校です)も日本語の勉強を始めたようです。

1992年10月11日 あまり使わないAu revoir

 さよならは「Au revoir」というのは基礎中の基礎ですが、学生の間ではほとんど使われていないようです。代わりによく使われているのは圧倒的に「Salut!」です。この言葉、会う時も分かれる時も使えるので、一度慣れるとかなり便利です。会う時も「Salut, Massa! Ca va?」、分かれる時も「Salut, Massa! A demain!」です。電話でも同様です。あと、ヨーロッパ共通(?)の「ちゃお!」も好まれています。
 先生に対してはさすがにそうはいきませんが、「Au revoir」というケースは少ないようです。たいてい「Bonne journee/soiree」「Bon apres-midi」などです。
 週開けにレポートを提出しなければならない時は、「Bon trarail au week-end!」なんてのもあります。

1992年10月10日 verlan

 魚屋の前を通るとき、軒先に牡蛎が並べられていました。やつらをしみじみ眺めてみるに、確かに「牡蛎のツラ」は悪態になるなぁと深く納得した次第です。ちなみにCakeはフランス語だと干し葡萄をのせたケーキをさしますから、やっぱり相当グチャグチャしているのでしょうね。
 今日もまたThomasがいろいろ「指導」してくれました。何でも「verlan」なるものがあるそうで、高校生や大学生が好んで使うそうです。要するにverserされたLangue、逆さ言葉のことで、ニッポンのギョーカイジンがコーヒーを「ひいこう」と言うのと同じです。
 何だかどこの国のやつらも同じやうなことをしていますね。
 Thomasは近々悪態リストを作ってくれるそうです。

1992年10月10日 車内アナウンス

 ちなみに私がよく行く日本レストランは6区Notre-Dame des champs近くにここは観光客よりもパリに住んでいる日本人に常連が多く、個人的見解として、ヨーロッパで一番コストパフォーマンスの良い日本レストランだと思います。
 今日も新しい車内アナウンスを聞いてしまいました。メトロ7番、シャトレ駅で電車がなかなか発車しなかった時のことです。
 Encore quelques secondes de patience, SVP, merci.
 これは「発車まで少々お待ちください。」ってところですかね。

1992年10月9日 「enregistrement」

 動詞「enregistrer」はまさしく英語の動詞「record」そのもので、記録するとか録音するの意味で使われます。同時に、名詞「enregistrement」も英語の名詞「record」にほぼそのまま対応します。大型コンピュータでは通常データは一行単位(物理的にはカード一枚)で入力され、これのことを1レコードと言っていたではありませんか? RDBでも同様ですよね? そんなわけで、行単位で入力されるデータのことをrecord、すなわちenregistrementと表現しています。donneeという場合は一般的なデータそのもののことで、特に行単位で入力されるというイメージはありません。逆に、FORTRANやCOBOL等を対象とするシステムで見られるような、フォーマット化されたシーケンシャル・データに対してはenregistrementが好んで使われます。この場合はwritingとかrecordingという動詞的イメージはありません。

1992年10月8日 仏語版情報処理関連用語−その1−

 秋学期ではデータベース論だの情報システム論だのの授業を取りました。フランス人の英米語排除はコンピュータの世界でも徹底しており、オリジナルが英語でもしつこくフランスの用語を作っています。授業では一応英語でも触れてくれますが、やはりでてくるわでてくるわ。
 で、ちょっと面白そうなので、仏(英)日の対象表を作ってみます。ネタが尽きなければその2以降も続けてみたいと思います。中国人留学生もおりますので、機会があれば仏英中もトライしてみます。

materielhardwareハードウェア
logicielsoftwareソフトウェア
micro-ordinateurmicroパソコン
jumbo ordinateursupercomputerスーパーコンピュータ
ordinateur universelgeneral purpose system汎用コンピュータ
reseaunetworkネットワーク
base de donnee (B.D)database (DB)データベース
site centralemainframeメインフレーム
octet (KO, MO, GO)byte (KB, MB, GB)バイト(KB, MB, GB)
machine frontalefront-endフロントエンド
disquettefloppy diskフロッピー*1
unite centrale (UC)CPU中央演算装置
circuits-integresintegrated circuits集積回路
temps partagetime sharing時分割
temps reelreal time実時間
entree/sortieinput/output入出力(I/O)
fichierdatasetデータセット*2
dossierfileファイル*3
enregistrementrecordレコード(データ行)

 *1:日米では「ディスケット」はIBMの登録商標では?
 *2:主に大型システムの場合
 *3:主にPCの場合

1992年10月8日 求む日本語教材情報

 同級生で一番世話になっているMarie-Pierreという女性が、とうとう日本語の勉強を始めました。現在私の作った表をもとに、必死にひらがなとカタカナを覚えているところです。つきましては、日本語の自習用教材(テキスト、練習帳、カセット付きの本など)で何か適当なものはないでしょうか?もし何か情報をお持ちの方は、会議室かメールで教えて頂けると助かります。
 彼女は元フランステレコムに勤務していたため、通信ヲタクになる素養が十分ありそうです。まだCalvaComの存在は知らないようですが、もしその世界に入り込んだりすると、またまたいとうさんが忙しくなってしまうだらうなぁ。

1992年10月8日 牡蛎の**

 今日は午前中だけの授業だったので、級友にこれまでの主題をトクと尋ねてきましたぞ。まずは「牡蛎の**」について。
 実際には「牡蛎のケツ」ではなくって「牡蛎のツラ」だそうです。ですからフランス語では「FACE D'HUITRE」となります。始め「Cul d'huitreってどういう意味?」と聞いて通じなかったので、「Fesse d'huitreかもしれん」と聞き直しました。その途端、私が尋ねた友人Thomasは爆笑し、隣にいたMarie-Pierrreは「おおMassa! それはとっても悪い言葉よ!」とぼやきました。
 何でも、牡蛎は見るからにゴチャゴチャしているので、なんとなく「Merde!」を連想させるのだそうです。ですから、これがこういう意味だから、というのではなくって、イメージとして何か悪態につながっているのだとのことです。
 Thomasは「このテの質問はいつでも僕にしてね」と言っておりました。なお、「Face de cake:ケーキのツラ」も全く同じ意味だそうです。で、Thomasが悪戯したとき、早速「Face d'huitre!」と言ったら、彼は即座に「その用法は正しい!」と褒めてくれました。

1992年10月8日 円周率の覚え方

 MARIE-PIERRE曰く、「直接覚えるしかないのよ」
 ルート2とかいろいろな例を示してみたところ、まあだいたい2、3桁くらいは覚えておいて、必要に応じて計算するのだそうです。確かに超越数でなければ算出アルゴリズムは存在しますので、後はみな習った計算に従って電卓で計算するそうです。無論、関数電卓があれば話しは超簡単ですが。
 そう言えば、昨日の授業で教授が光の速さを問うので、早速「deux cents quatre-vingt-dix-neuf mille...」とやったところ、即座に隣のやつが「どうやって計算したんだ?」と尋ねてきました。その時は単に「これは覚えているんだよ」と応えて話しは終わったのですが、どうやら彼らにとって4桁以上の数字は計算して求めるものであるようですね。
 ところで九九についても聞いてみたところ、やはり「直接」覚えるしかないそうです。日本みたいに語呂を使うという方法論は、個人でやっているケースはあるかもしれないけれど、一般にはないということでした。当然これはかなり面倒なわけで、幾つか記憶の穴が生じたときは、前後の覚えている部分から足したり引いたりして求めるのだそうです。

1992年10月8日 Oh! Merde!

 昨日、PowerBookが死んでしまいました。システムがディスクを認識してくれないのです。ディスクユーティリティで調べてみると、ディスクのTebleof Contents自体が表示されないので、ディスク及び周辺回路を全とっかえしなければならない事態も予想されます。
 さっそく学校で、「Mon petit MAC est mort hier soir.」と言ったところ、早速「その言い方は良くない。正しくはMon petit MAC est mort. Oh! Merde!だ。」と修正されたしまった。彼らは今後も私に正しいフランス語表現方法を指導してくれるそうです。

1992年10月7日 あいづちの方法

 私も専ら「Exactement!」や「Tout a fait」を使います。フランス語の話せる日本人だと「C'est ca.」も多いようです。フランス人だとかなり「Voila!」が好きですね。まあ、これは質問に対する応えというより、同意を求められた時の反応ですが。あと、多少もってまわった言い方では「Je suis tout a fait d'accord avec toi, mais...」なんてのも好まれています。
 実はフランス人の中でも日本式の反応を示す人がたまにいるんですよ。これ本当。だって、彼らは日本語の知識は殆どないから、私にあわせたはずがない。もしかすると、否定疑問文はもともと応えずらい構造なのかもしれない。ただ、明確に否定疑問を否定するときはほぼ例外なしに「Si!」です。
 一般論としては、確かに「Oui」「Non」を単純に使うより、バリエーションをもって反応したほうが表現に幅ができるでしょうね。
 私のよくやる失敗は、電話をかけて相手に「Ne quittez pas.」と言われた際、思わず「Oui」と反応してしまうことです。ある時など、思いきり「Si!」と応えて慌てて「Ah...non」とやって笑われた事がありました。最近は警戒して「ん」で済すようにしています。

1992年10月7日 カキの****

 牡蛎のケツも何とか級友に聞こうと思っていたのですが、実はどうやって聞けばよいのかとっかかりがつかめなくて困っていました。「cul d'huitre」ですか、この線で攻めてみやう。これでまた明日学校に行くのが楽しみになってきた。
 今日はとうとう猥談に成功するという大成果(!)を挙げました。内容を明かすと鴨瀬さんに削除されてしまうので内緒です。でも、フランス語やイタリア語で猥談するというはイメージ的に納得できるけど、ドイツ語で猥談というと何かイメージにそぐわない。これも偏見の内に入るのだろうか?

1992年10月7日 コマーシャルといえば

 ロレアルとゲランのコマーシャルは日本もフランスも全く同じです。以前、TF1をつけっぱなしにしていた際、突然聞き覚えのあるコマーシャルが流れてきてたまげたことがありました。あと、大分前にあったシャネル(?)の「エゴイスト!」も全く同じでした。
 フランスのTVではCMでも女性のヌードが登場します。私が見た例は石鹸のCMで、突然「さくらさくら」がBGMで流れてくると、泡泡のモデル嬢が登場、それをシャワーで流すのですが、わたしゃ日本的常識から当然アングルは下に向かって、肝心の所(?)は映さないと思っていた。けど、それがやってくれましたよ!露わな胸をたっぷりと見せてくれました。この時あたしは思わずTVに近づいてしまった。よっぽどビデオにとって送ってあげようかと思いましたが、マルチシステムでなきゃ見れないし。

1992年10月7日 「あいまい」

 私はカミュの「異邦人」を読んだ時、その内容もさることながら、格調高い文章にえらく感激しました。「Quand la sonnerie est encore retenti...」何て一節はどれほど興奮したか知れません。この一冊の感動がフランス語の泥沼に誘いこんだと言って良いでしょう。
 日本語でも格調高い文章は当然あるのでしょうが、私はむしろ古文のあいまいな表現の方により多くのエクスタシーを感じてしまうのです。まあ、古事記まで遡ると「ん?」ですが、源氏物語や徒然草などに接した時は、やはり文章の品格に感動しました。
 日本語そのものがあいまいなわけではないし(日本語自体があいまいであれば、日本語で数学の論文は書けません)、日本ではなかなかはっきり言う時と場所がないというのもその通りだと思います。それに加えて、何か日本語にはあいまいにすることで格調高さが生じる要素がある、というのは少々手前勝手な感想でしょうか? 無論、あいまいな表現が全て格調高い訳でないのは言うまでもありません。フランス語の場合は、歯切れの良さとリズム、構造など、音にしたときの美しさが格調の源泉ではないかと勝手に想像しています。

1992年10月6日 RE:もそもそ

 フランス語は喧嘩をしているときでもナンパしているやうに聞こえ、ドイツ語だと女を口説いている時でも喧嘩を売っているように聞こえる、というのが拙の良く耳にした風評であります。それなりに納得。
 しかし、この手の話しをすると、ドイツびいきの私のカミさんは結構マジに怒ります。ショーペンハウアの説によれば、フランス語は方言を膠でつぎはぎしてかろうじてつじつまをあわせただけの言語だとのことですから、まあ、それぞれに身贔屓があるのでせう。
 まあ、どっちがどうだかは別として、ドイツ語会話のイントネーションは、比較的上がったり下がったりジグザグした感じがありませんか? でも、ドイツ人のフランス語はとてもきれいですよ。これはアリアンスで実感しました。他方、イタちゃんやスペちゃんは微妙な違いが識別できないみたいです。
 某社会学者の調査によると、ビジネス街の喫茶店には英語の名称が多く、ショッピング街や住宅街だとフランス語の名称が多いとのことです。これは英語=実用的、フランス語=ファッションを連想させるためではないかとのことです。でもドイツ語名の喫茶店は思い当たりませんね、案外と。
 さて、パリのカフェは場所や人の名前が多いようですが、レストランはというと...「豚の足」「優しい小悪魔」...。ううむ。(「豚の足」はレ・アールにあります。店の前には飼われている黒豚がつながれています。彼もいずれ食卓に乗る運命なのだらうか。(;_;))

1992年10月6日 一体何が起こった?

 昼のA2のニュースで、何やらフランス証券市場で暴落があったような報道をしておりましたが、一体どうなっているのでせう? カミさんからのファックスだと、フランが突然3円も上がったと言うし、真実がわからん! 経済情報はやはり日本の方が詳細なので、ヨーロッパの情報もこと経済に関しては東京経由の方が詳細に分かりそうです。
 それにしても今日のパリは寒かった。東京で言えば完全に12月中旬の気候ではないかと思います。そう言えば、ここ数日めっきり太陽の姿を見ていないけれど、一体どこに隠れてしまったのだらう。

1992年10月6日 駅のアナウンス

 アナウンスがあるといっても本当に必要最小限といった感じで、日本とは全く比較になりませんね。
 RERもメトロと同様、出発の時は駅によってはブザーがなります。また、メトロでは駆け込み乗車もかなり頻繁に見られますが、さすがに日本ほど激しくはありません。さらに、メトロ1番のルーズベルトからシャトレの間は、夕方6時前後に凄まじいラッシュとなりますが、その間の駅ではたいてい無理して乗ろうとはせずに、皆、5本でも6本でも平然とパスしています。
 まあ、パリの鉄道に関しては多くの「ない」伝説は真実に反していますが、それでも日本とははなはだ異なるレベルです。せっかちでありながら、やはりどこかおおらかという原則(?)はここでも生きているやうです。

1992年10月6日 天気予報の説明の仕方

 私はたいていTF1とA2を見ているのですが、天気図を説明する際のアングルが微妙に違います。
 TF1はアングルが二つあり、一つはキャスターに、もう一つは天気図に向かっています。キャスターは常に天気図を横にして説明します。そして、通常の説明の際はキャスターを正面から捉え、各地の天気や天気図の説明の時は天気図を正面に捉えます。ですから、TVから見ていると、天気図の説明をしている時は、まるで横にいるひとに向かって話しているようで、常に正面アングルの日本の天気予報に馴れた感覚からすると、何となくヘンな感じがします。
 一方、A2の天気予報、「Un, deux, trois, soleil」では、アングルは常に天気図を正面に据えています。ただ、キャスターが天気図を説明するときは、やはり横向きになってしまいます。従って、TF1に比べると正面を向いたり横を向いたりと、結構せわしなく動いています。
 げげ、明日は最高気温13度で、しかも雨だと。うう、寒そう。(;_;)

1992年10月5日 「違い」?それとも「共通」?

 私が何かメッセージを書くとき、どうも日本や日本人との違いにスポットを当てがちであるようです。
 実は私自身としては、日本とフランス、あるいは日本人とフランス人は、案外と共通するものが多いと前々から思っていました。メンタリティについても、日本は本来ラテン的だという思いが私にはあります。これはかなり異論もあろうかと思いますが、江戸風流の世界などをのぞくと、日本人(特にオトコ!)の好色さ、おおらかさなどはかなりフランス人のエスプリと相通ずるものがありましょう。まあ、日本人の原点をどこに求めるかという大問題もあるわけですけれど...。私は本来的にスケベだと思う。
 いずれにせよ、フランス人も日本人も一応アイデンティティのある集団なので、違いもあれば共通点もあるのは当然、どういう角度で見るかによって似て見えたり違って見えたりするのは当たり前でしょうが。

1992年10月4日 貴重品の古新聞古雑誌

 振り返るとそこにまだ2ヶ月前の「週間朝日」があった。そういえば、日本からマックを送ってもらったとき、一番嬉しかったのは保護材として中に産経新聞が詰め込んであったことを思いだしてしまいました。
 日本で高くてフランスで安いもの? 牛乳、肉、バター、ワイン、ケーキ、メトロ...食い物ばかりではないか。最近はブランド品も差額が少なくなってきたし。ところで、生活実感としては1F=21円くらいが妥当ではないかという気がします。

1992年10月4日 案外多いアナウンス

 SNCFだと、「お忘れものにお気をつけ下さい」なんてのもありますね。これはメトロの終着駅でもごくたまにアナウンスしてますが。
 Assurez-vous que vous n'avez rien oublie.

1992年10月3日 気分はすっかり浦島太郎

 今日は警察に行った後、T銀行に住所変更の手続きに行き、そのあと日本書店JUNKUで漫画の立ち読み、それから法定翻訳の依頼に在仏日本人会まで行ってきました。日本人会ではついでに新聞を2週間分読みだめし、日本では実にいろいろな事が起こっているなぁ、と、すっかり浦島太郎の気分に浸ってしまいました。
 1:はぁ、ベストセラーが「荻野目慶子写真集」。誰か送ってくれんかな。ん? 次は「島田陽子写真集」も? これはこれは
 2:ひぃ、円が120円/ドル突破! 薄々感じてはいたけれど、とうとうですか。後はマルクの大暴落を待つのみですな。
 3:ふぅ、阪神が優勝目前? ま、巨人ファン、中日広島嫌いのあたしとしてはよしとしやう。しかし、ハレー彗星はまだ何十年後なのにね。
 4:へぇ、小沢さんが竹下派会長代行を辞める?! まぁ、しゃあないわな。それにしても相変らず社会党は時代錯誤を演じている?
 5:ほぉ、自衛隊PKO部隊がカンボジアに行った? この辺は産経新聞を読んでみたいが、何でここには朝日毎日しかないんや。
 なんて感じで、すっかりハ行5段活用してしまいました。他にも、トウショウボーイが死んだとか、沈黙の艦隊で「やまと」が米国大西洋艦隊を壊滅寸前に追い込んでいるとか、柔で富士子さんが銅メダルを取りそうだとか、貴花田が二度目の優勝を飾ったとか、まあ、いろいろと楽しみの多い時間を過ごさせて頂きました。

1992年10月2日 孤独との鬪(んな大袈裟な )

 思うに、やはり日本とコンスタントにコミュニケーションが取れるという効果は絶大だと思います。アンバランスの最大の原因は、日本からは隔絶され、地元にも根が降りていないという根なし草状態であろうと思います。それが故にひ弱な男達の一部は殻に閉じ篭り、たくましい女達の一部はボディー・ランゲージに走るのでしょう。
 しかし、圧倒的多数の男女は何とかかんとか生活しているのですから、あまりこのことを深刻に考え過ぎるのも問題だと思います。
 カミさんはまだ日本に留まっておりますが、コミュニケーションのおかげで私はまだ何とか正常(?)を保っています。コミュニケーションの大半は無論パソコン通信ですが、ファックスもそれなりに寄与しています。なにしろ手紙をリアルタイムで交換できるのですから。電子メールも極めて有力な手段で、会社の同僚が定期的に日本のニュースを伝えてくれます。おかげで、10月1日付の人事移動なども、9月半ばにして知ってしまった位です。
 もう一つ、やはりクラスメイトとのコミュニケーションが大切です。ただ、彼らの輪の中に飛び込むためには、それなりの努力は必要です。しょせん語学学校での外国人の会話スピードとネイティブのスピードは雲泥の差がありますし、口語体の文章は学校会話と微妙に違います。
 私は休み時間も下校時も彼らと一緒にいるよう努めました。今思うと本当に苦痛を感じる一時でした。何しろ何を話しているのか分からない、尋ねられても頷くことさえできないという状態でしたから。ただ、ここで彼らから離れてしまうと、いつまでたっても会話のスピードについて行けないと思ったのです。まあ、1週間で3キロは痩せたようですが。
 何とか耳が慣れだしたのが2週間後、一ヶ月経た今になってようやくたまに会話に参加できるようになりました。こうなると、家にいるより学校に行くほうが楽しくなります。
 おそらく、会話に参加できなくても、しつこくつきまとうことが重要なのでしょう。この時期は「孤独」の方がよっぽど楽です。海外生活には様々な壁があるのでしょうが、これが第一の壁ではないかと想像する次第です。

1992年10月2日 RERのラッシュアワー

 ヨーロッパの駅はアナウンスがなくて静かだといいます。一般的にはその通りですが、朝夕のラッシュアワー時のRERは例外で、シャトレ、ラ・デファンスなどの主要駅ではアナウンスが東京並みにありますし、時間帯によっては
「押し屋」もいます。シャトレの例だと朝7時半から8時くらいがピークです。
 ではどんなアナウンスがあるのでしょうか?先日シャトレの駅でメモを取ってきましたので、アナウンスの日仏対訳(?)を示してみましょう。前置詞や冠詞などがちと間違っているかもしれませんが、まあご容赦下さい。

営団地下鉄RER
電車がまいりますLe train entre la gare.
白線の内側でお待ち下さいVeuillez garder le bord, SVP!
降りる方が優先ですLaissez descendre avant monter!
中までおつめ下さい。ドアが閉まります、ご注意下さいAttention, le fermeture de la porte, montez plus.
発車致します、ご注意下さいAttention, depart du train.
この電車は**行です。Ce train est en direction au **.

(最後のアナウンスは分岐駅にて車内のみ)
 アナウンスは時々微妙に変化していましたから、録音テープではなくて肉声だと思います。押し屋は普段着の上にRATP支給の袖なしジャケットをはおっています。色はくすんだブルーで、真ん中に黄色い線が一本入っています。ちなみに、駆け込み乗車もかなり日常的ですから、RERを利用していると、しばしば東京にいるような錯覚に陥ります。

1992年10月2日 フランス人の略語好き(?)

 一般的なことなのかどうか知らないが、私の級友は単語を簡略化するのが好きである。まあ、baccalaureatがbacとか、immobilierがimmoとかに化けるのだから、結構一般的に見られる現象と見てよかろう。
 しかし、級友と話していて一つだけ困ることがある。statistiqueがstatになるのはいい。professeurがprofになるもの構わない。しかし、faculteがfacになるのはちと困りものである。発音はまさしく「フ*ック」である。周りには結構米国人留学生がいるのだが、彼らは全く無頓着に
「あそこのファ*クは...」とか「ファッ*の頃に...」とのたまう。おまけに、FAC IMMOというかなり大きな不動産チェーンがあるから困りものである。学部長が私のアパート探しにアドバイスしてくれたとき、やにわに「そうだ!*ァックがあった!」と叫んだとき、何も知らなかった私は思わず吹っ飛びそうになった。
 ううむ、そういえば、イタリア語で乾杯は確か「チ*、*ン」、一昨日の昼食で私の正面に座っていたやつがコップを持って「*ン、チ*!」と言うものだから、私は即座に日本語の意味するところを教えてあげた。彼は喜ぶことしきりであった。また、その隣のやつが「プロスト!」(これは確かオーストリアでしたっけ)と叫ぶので、私は「セナ!」と応酬することを忘れなかった(このネタはF1を見ていない人には分からないか )。

1992年10月2日 滞在許可証奮闘記−番外編−

 我々外国人が引越をする時、新しい住所を地元の警察に届け出ねばなりません。私も9月1日付で引っ越しましたのですが、授業で忙しかったりしてようやく今日手続きが終わったところです。例によって...。
「引越の届け出はCommisariat de Policeの仕事よ」
「パスポート記載事項の変更はPrefecture de Policeの権限です」
 上は先週Prefecture de Policeで言われたこと、下は今日まさにCommisariat de Policeで言われたことです。ははは、こいつらまたアホなこと言いおって。さすがに今日は粘りまくりました。
「先週そこに言ったら地元の警察署に行けと言われた!」
「住所変更はここの管轄でしょ!」
「受付でもここでいいと言われた!」等々
 相手は極めて愛想がよく、「キミの気持ちは良く分かる。でも、ワシらにはさような権限がないのだヨ。だから悪いけどここに言ってくれる(と、Prefecture de Policeの地図を渡す)」(笑顔)。
 同じことを2度繰り返すと、彼はとうとう「細かいことはわからんから、受付で相談してみて」(依然笑顔)と言いました。
 さて、受付で事情を話すと、今度は受付の女史が血相を変え、「そんなことないわヨ!住所変更はここでやるはずよ!」と叫び、私の後ろに5人も順番待ちの列が出来ているのにも関わらず、私を伴って件の担当者のところまで行くのでした。いやいや彼女もまくしたてることまくしたてること。私には「あなたはここで待ってなさい」というや、あっちのコーナーに行ってまくしたて、上の階に掛け上り、さてはいずこかへ電話を掛けるなど、八面六臂の活躍を見せてくれました。
 電話が終わるや破顔一笑、「やっぱりここでいいのヨ」。件の担当者を見事に屈服させてくれたのです。
 まあ、敵もさるもの、何ら悪びれることなくさっさと手続きを終え、変更受付を私に渡す際には「ドウモアリガトゴザイマシタ」(!)と言うのですよ。一体どこで覚えたのやら。まあ、他の担当者もただニヤニヤするばかりで、やはりこういう時は何か憎めないものを感じるのは完全な身贔屓でしょうか(苦笑)。
 帰り際に受付を通る際、私は彼女に心から「Merci beaucoup!」と言いました。それに応えて彼女の「Je vous en pris, en regle general.」が何と心地良かったことか。
 とにかく、フランスの仕事は一つ一つが細分化、専門化されているためか、担当者が妙に自身満満なところがあります。その割にシステムは細かい例外事項に対応していませんので、なにか一般的でないことが生じると、必ずああでもない、こうでもないが始まります。私の滞在許可もまだtemporaireであり、正式な許可証が出るまでに引っ越すことはまず有りえないという想定なのでしょう。
 教訓:捨てる神有れば極力粘れ、さすれば拾う神現われむ。

1992年10月1日 スピーチ

 アメリカ人との付き合いもそれなりにありましたが、ことプレゼンテーションに関しては明らかに彼らの方が一枚も二枚も上ですね。また、プレゼンに対する入れ込み方も根本的に違うとも感じました。
 昨日の授業では(ちなみに語学学校は8月で終わり、9月からGEの授業が始まりました)一昨日のビデオを見せられたのですが、いやいやもう顔を上げるのが苦痛でした。それでもやはり演劇までやっているプロに指摘されることはいちいち尤もで、いったい目から何枚うろこが落ちたか分かりません。
 この3日間で私も含めた全員が一番注意されたのは、話しているときの呼吸でした。これがうまくできれば話すスピードも口調も自ずと整うはずだ、とのことです。ううむ、私などは息ができなくなるかもしれない。
 ところで、フランス人同士の会議で口論が激しくなると、誰かが「Zen!」と叫んで呼吸を整えることがあるそうです。無論Zen=「禅」です。

1992年10月1日 示さなければ

 言わなければ分からない。私はさらに、「行動で示さなければ分からない」を付け加えましょう。つまり、好意を持っている人間には親切な行動を示す、これも重要な原理だと思うのです。具体的には、アンブラセもそうだし、握手もそうだし、食事の時にカラフを持ってきてあげるとか、カフェを運ぶなんてのも当てはまります。
 言葉にせよ行動にせよ、常にメッセージを発していなければならないということでしょう。私はこの底流にやはり個人主義があると思います。つまり、個人=完結した自己と捉えるが故に、自分にとっての他人、そして他人にとっての自分は基本的に「得体の知れない存在」であるわけです。従って、好意を持っている人にはそのメッセージを伝え続ける、逆にメッセージがない限り「得体の知れない存在」であり続けるわけです。日本社会の場合は多分デフォルト値が「(潜在的)仲良し」なのでしょう。ですから、メッセージを発する必要性が相対的に低いのだと思います。日本人の女の子が(男でも同じでしょうが)ヨーロッパやアメリカに行って、彼らがとても親切だと感じるのもこのような背景があるのではないでしょうか?
 それにしても恋というか人間関係が一種のゲームだというのは言いえて妙ですね。一般的にはより惚れた方が負けだと言いますが。

1992年10月1日 発音の問題

 コミュニケーションの授業で感じたことの一つに、我々日本人の発音の問題があります。
 一般に発音の問題と言うと、どうしても「r」と「l」とか、「in」や「an」の区別が指摘されがちです。しかし、コミュニケーションの先生が指摘してくれたのは、口の動きが少ないということでした。これは日本人に限らず東洋人全般に当てはまる事だそうです。
 確かに強く意識している時は積極的に口を動かしますが、普段はあまり大きな動きがないのも事実です。自分の話している姿をビデオで見せられ、分析されると一目瞭然でした。そうなると、子音や鼻母音に注意するよりも、むしろ一つ一つの母音を意識的に口を動かすことの方が重要なように思われます。無論、全てに注意を払う必要があるわけですから、あくまで相対的なことですが。練習方法としては、詩の朗読を勧められました。


Copyright(C) Masayuki ESHITA

NIFTY-Serve時代その5

10月に入ってからは、なにもかにもが変わった気がした。フランスで生活するようになってから三ヶ月が経過し、生活環境が落ち着いた。片道1時間の通学にも慣れ、生活リズムが整ってきた。そしてなによりも、ネイティブ・スピードの会話にようやく耳が慣れてきたのである。もともとわたしはバカ話が好きなので、相手のしゃべっていることさえわかれば、こちらかも突っ込みを入れられる。周囲とコミュニケーションが円滑にとれるようになり、毎日があらたな発見の連続となった。その発見を電子会議室で披露することで、コミュニケーションの楽しさは二重になったのである。
フランスに留学している人の多くは文学や自然科学の分野を専攻していると思う。その点、わたしが所属した大学院は、フランスでこそ有名だが、経済経営分野であるため、日本ではそれほど知名度が高いわけではない。なおかつわたしの専攻はITマネージメントであるから、なおのこと日本とは縁が薄い。そんなことが逆に、多くの日本人にとってなじみのない用語や発想を知る機会をえたわけである。10月には情報処理概念の講義があったので、フランス語のIT用語を電子会議室で披露した。