小松左京の「幻の単行本」刊行記念パーティに行ってきた。会費は一万円だが、おみやげとして刊行された本がもらえるので、ほとんどそれで元が取れてしまう。鯨のステーキも旨く、なかなかオトクなパーティだった。
幻の単行本というのは、小松左京がまだ大学生だったころに、モリ・ミノルのペンネームで出版する予定だったもの。「第五実験室」「イワンの馬鹿」などが今回刊行された。オリジナルがすべて出版されたかどうかは、いまだに未解決の謎となっている。現物はいまだに発見されておらず、他方ではゾッキ本が流出していることから存在が有力視されている。コレクターとして有名な松本零士は、幻とされている作品のいくつかは自分が買ったことがある、と証言している。
神保町で買い出しを行う。
友人のKさんから漫画をもらう。ドラえもんが何冊もあったので娘が喜ぶ。
ムック企画の件で打ち合わせ@宝島社。
今年は佐藤書房から買い出しを始めた。めでたし(?)
モリ・ミノルの単行本が刊行されるらしいという話を聞いたときは(誰から聞いたのかは忘れたが)、まさかな、と思ったものだ。すでに刊行されたものが、マニアの協力によって復刻されるというのなら話は別だ。そういうケースはこれまでにいくらでもあった。ところがモリ・ミノル作品となると、単行本自体が存在しないのだから、刊行など不可能だと信じて疑わなかったのである。
ところが、本当に刊行されてしまった。しかも、小学館という最大手出版社から、である。さらに驚くべきことは、四冊ものセットでたったの5,000円という価格設定だ。この種の本はマニアしか買わないので、せいぜい1,000部か2,000部ぐらいしか製作されない。なので、単行本一冊あたり5,000円ぐらいすることがめずらしくない。それが四冊セットで5,000円なのだから、最初からかなりの部数を刊行するということなのだろう。実際、そうらしいのだが、モリ・ミノルこと小松左京という作者の初期漫画作品に、漫画ファンとSFファンの両方が惹かれるだろうと判断されたらしい。
ちょっとしたツテのおかげで、この幻の単行本の刊行記念パーティに参加できた。会費は1万円だが、参加者全員に単行本がみやげとして配られるので、実質的に会費5,000円のパーティである。会場ではクジラのステーキをはじめ珍しく旨い料理が並んでいたため、かなりおとくなパーティーであった。
会場の一角には、刊行に使用した原稿が展示されていた。作品の多くは、過去に刊行されたかどうかがわからなくても、小松左京氏本人が原稿を保管(一部は紛失されたらしい)していたおかげで今回の刊行にこぎつけることができたわけである。話によれば、松本零士氏が刊行を強く迫ったそうだ。