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20世紀の日記 |
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94年3月の日記は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラムロマンス語派館」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。
当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。
郵便局から、国際料金表をもらってきました。フランスから Zone 5 (アジア全域がここに属する)向けの郵便料金は以下の通りです。
Poids jusqu'a | Service Prioritaire | Service Econimique | Nota Bene |
20 g | 4,70 F | -- | 葉書はここに含まれる |
40 g | 8,70 F | -- | - |
60 g | 14,00 F | -- | - |
80 g | 15,00 F | -- | - |
100 g | 16,00 F | 10,50 F | - |
200 g | 30,00 F | 18,50 F | - |
300 g | 47,00 F | 27,00 F | - |
400 g | 52,00 F | 30,00 F | - |
500 g | 57,00 F | 33,00 F | - |
750 g | 91,00 F | 56,00 F | - |
1.000 g | 103,00 F | 63,00 F | - |
1.250 g | 138,00 F | 83,00 F | - |
1.500 g | 150,00 F | 90,00 F | - |
1.750 g | 163,00 F | 98,00 F | - |
2.000 g | 175,00 F | 105,00 F | - |
2〜30kg は窓口にて尋ねる |
Service Prioritaire とは通常の航空便のことです。Econimique は窓口の説明によると、航空便、船便、鉄道便を組み合わせたサービスだそうです。たしか、日本発でもシベリア鉄道便を使う欧州向け国際郵便サービスがありませんでしたっけ?
料金はご覧の通りです。Econimique だと約4割安くなります。
パリ発東京着の所用日数は次の通り。パリ以外発・東京以外着の場合は、国内郵送の日数が加算されるはずです。
Service Prioritaire:原則として5日間
Service Economique :原則として13日間
ぼくの経験だと、Service Economique でもすいている時期なら、Prioritaire 並みの期間で到着したことがあったように記憶しています。ただし、フランス国内で鉄道のストなどがありますと、Service Econimique の扱い優先順位は低いので、日本まで一ヶ月もかかった、なんてケースもまれにあるそうです。
なお、割安料金としては「印刷物扱い」(Objet Imprime.)があったと思いますが、貰ったパンフレットに記載はありませんでした。ただし、ぼくの記憶では、100 g 以上は Service Prioritaire と同じ料金だったと思います。
残念ながら、船便の料金表はなかった。そういや、SAL の Sの字もなかったな。
アニメやゲームのことは、いつか書こうと思っていた。
ビデオゲームはもはや日本がダントツでござるな。現在、欧羅巴でもっとも有名な日本企業は、もはや SONY でも HONDAでもない、Nintendoだといってもよいでしょう。フランスにもちゃんと(笑)ファミコン専用雑誌があります。タイトルは忘れたな。ロワシー空港の売店にもあるくらいだから、結構、売れているんじゃないだろうか。
ソフトだけど、売れ線はフランス語化した日本製ソフトが多いみたい。これ、ちょっと完全には確認していない。ただ、スーファミ用の「ゼルダの伝説」フランス語版が、かなり人気があったというのは雑誌で立ち読みした記憶がある。よって、コマンドもフランス語版だとフランス語なのね。
二年前だったかな、ここの会議室で、「フランス語を勉強するなら、フランス語版のファミコン・ゲームをやるのも一つの手段」なんて書いた記憶がある。でも、当然テレビ信号は SECAMなので、それなりの設備投資が必要になってしまう。残念。
フランスでも輸入ソフトは多いよ。もっとも、フランス語化したやつのほうがもっと多いと思うけどね。野蛮なのやらえっちなのやらも、かなり多いんじゃないかな。これは推測の域を出ていない。
アニメの話しが出たついでに(笑)、アダルトCD-ROMなどの情報を一つ。
先日、電子化されたポルノグラフィの入手について、警察庁及び大蔵省通関当局に質問をしました。出版社を通じて問い合わせたのですが、次のような回答を得ました。
【警察庁広報】
「アメリカのパソコン通信サービスを利用して、日本のユーザーが局部の写ったポルノグラフィを手にいれるのは違法行為であるか?」との質問に対して:
利用の内容によって異なるので、一概に違法行為とはいえない。個人で楽しむ分については、即、違法であるとはいえない。ケースや状況等、利用の内容によって法律の規定は異なるので、一般的な回答はできない。
【大蔵省通関当局】
アダルトCD-ROM等の監視体制に関する質問について:
通関において、コンパクトディスクやフロッピーディスクの内容については、インボイス等によってチェックする。内容の不祥なものは、掲載機器によって中身をチェックする。
なお、上記回答の文面は、出版社が作成したものを、江下が一部要約したものです。ちなみに、アメリカCompuServe や フランスCalvaComのデータ・ライブラリーには、ヌード写真の類がかなりの数、公開されています。それはぼくも確認した(笑)。
えっちゲーム・シェアウェアはどうかな。これはまだ調べてない。
SAL 便も Service d'Economie も、優先度の低い航空便であったように記憶しています。ですから、通常の航空便に比べ、より多くの日数がかかることもあるし、航空便と同じ日数で到着することもあります。
正確を記すために、今度、郵便局で案内を貰ってきますね。
通常航空便とはだいぶ料金が違いますから。
ワープロの魅力は、なんといってもカスタマイズされたところ、パソコンの魅力は何にでも使えるところですね。最近はどっちも安くなってきたので、もはやどっちがいいという時代ではなく、TPOによってどう使い分けるか、という時代だと思うんですよ。
ワープロの旨みは、スイッチを入れるだけで文書作成を始められる、プリンタもくっついていることが多いこと。完結した一つのパッケージですね。モデム内蔵が増えているので、携帯用には最高です。日本語処理も本当に洗練されてきた。
一方、パソコンは日本語WPも使えれば、英語WP、フランス語WP、何にでも使える。だから、あれを使ってこれを使って、という人にはほんとうに重宝します。
ぼくが思ったのは、パソコンでもワープロでも、便利だと思ったらさっさとかっちまえばいいと思う。もちろん、懐具合と相談しなければいけないけど、二者択一的に考えるのではなく、どっちを選んでも絶対にメリットはあるって考えるのが正解だと思うんですね。中古を利用するのも一つの選択肢だな。
ということで、機種に対する思い入れはしばしば「宗教戦争」に例えられますが、ぼくは「神さまを信じれば、宗教なんて関係ないさ」と考える次第であります。ははは、無節操なのだ。
注文するときは、簡単な依頼分の下に、次のようなフォームで内訳を書けば大丈夫でしょう。
Bon de Commande |
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Adresse de livraison : Nom et Prenom : XXXXXXX yyyyyyy Adresse : Tel : +81-nnn-nnn-nnnn fax : Mode de paiement : VISA (Master, ...) Nom de Carte : ZZZZ Card International No. : XXXX-XXXX-XXXX-XXXX Expire le : Adresse de facturation : Nom et Prenom de titulaire: XXXXXXX yyyyyy Adresse : tel : +81-nnn-nnn-nnnn Designation (title,autheur,editeur) Quantite Mode de livraison : Veuillez adresser les articles par colis postal par avion a l'adresse mentionne. |
なお、超特急でなければ、郵送方法は SALまたは Service d'Economie を指定するといいでしょう。かなり節約になります。到着は航空便で5、6日程度、SAL 等は場合によっては二週間程度かかります。
フランスにある程度長く住むつもりならトランスは必需品ですね。220/240→100V のトランスは帰国売りで入手できます。フランスの店でももちろん買えます。ぼくは 1200Wの大型トランスを日本から持ち込み、先住者の使っていた小型トランスを1個そのまま譲ってもらいました。
小型トランスはシェイバーの充電用、大型のほうは常時固定して、モデム、ラジカセ(これも日本から持参)、ときにはホットプレート(これも日本から輸送)、NiCd電池充電などに使っています。あ、だから日本から電源のふたまたと延長コードだけは忘れずもってこなきゃだめ。こればっかりは、フランスでは手に入らない。
ぼくに限らず日本から電化製品を持ち込む人は案外と多い。帰国売りで 100V 対応のミニコンポとかNTSCテレビなんかもあるし。
アパートなどに住むのであれば、電話線の接続も全然心配いりません。ミニテルが出回っているおかげで、どの家でもたいていフランス・テレコムのジャックになっていますから。モジュラージャックとのアダプタは簡単に買えます。ホテルはまずだめだけどね。ぼくは結局公衆電話からポケットダックでつなぎました。まあ、アパートに住むまでのことだから、その間は我慢すりゃいいんだし。
フランスの大学の授業料は嘘のように安い。だから、当然授業料なんて子供が払うケースが多いわけだ。でも、日本の大学の授業料は、はじめから保護者負担が前提になっているようなものでしょ? だから、どうしても他人事になってしまうのではないだろうか。
おれ、学生時代は自分で授業料を払っていたから、デモも結構まじだった。まあ、3年、4年のときは授業料免除制度を利用したから、結局4年間で28.8万円払っただけなのだ。奨学金でおつりがきちゃったもんな(笑)。
主張に興味を示さないというのは、情報の受信に慣れきったからだろうね。まあ、世の中これだけ情報があふれていりゃあ、仕方ないかもしれない。でも、そういう社会は極端に煽動やパニックに弱いんだよ。なんか、伝え聞く米騒動もそんな根っ子があるような気がするなあ。
パリのデモ隊は、ウチの前の通りとはすに交差する ARAGO通り(リュパンが脱走した(笑)ラ・サンテ刑務所の前を通る道です)を行進したんですね。テレビをみたら、なじみのカフェがちゃんと映っていました。何しろ暴動が伴うので、近所のカフェ、レストランから一般商店まで、一斉にシャッターをおろして店じまい。Les Gobelinsの駅も閉鎖、近所のスーパーも臨時休業という有り様です。
Nationはすごかったらしい。ひっくり返された車や燃やされたごみ箱なんかをテレビで映していた。
あさっては JUSSIEUであるらしい。
バラデュールさんの他に、パスクワさんも槍玉にあがっていたでしょ? 韻のはいったシュプレヒコール、ぼくはデモ隊の通った交差点の二十メートル先、治安警察の武装警官隊の後ろでこそこそと聞いていたのだ。警官から「近くに行って見てくれば?」とすすめられたんだけど(笑)、身分証明書を携帯していなかったのでやめた。
民主主義獲得に日本人が血を流さなかったかというと、そのあたりは歴史認識によって意見がわかれると思う。一般には「与えられたもの」といわれているけどね。
ぼくは「幕末はペリーに始まりマッカーサーで終わった」という認識なのだ。よって、封建主義から次のパラダイムに移るまでに、勤王の志士から第二次大戦の無名兵士にいたるまで、おびただしい血が流れたと考えるべきだと思う。
デモで思い出したけど、ぼくが大学1年のとき、国立大学授業料反対デモがあった。クラス討議のあと、有志一同が駒場から国会議事堂までデモ行進した。千人くらい集まったのかな。おれはもちろん先頭で行進したのだ(笑)。クラス討議で支配的な意見が、まさに「デモをしたって何も変わらない」だったね。そこで険しい顔してすっくと立ち上がったのが、いま、このテキストを巴里で入力しているおっさんの未成年時代(笑)。
で、おれが主張したのは、「デモをして変わるかどうかはわからん。多分、変わらないだろう。でも、何もしなければ絶対に何もかわらないぞ」だった。若かったな(笑)。でも、この考えは今でも同じ。変えようとしなければ、絶対に変わらないのは真理だよね。だから、変わるかどうかを刹那的に考えるんじゃなくて、変えようとする意志を継続することが大事だと思う。
フランスって国は、人の考えは全部違うって前提があるでしょ? だから、よくも悪くも相手の意志をおもんばかることが少ない。その結果、不満があるときは「不満」を表示しないと、誰も「あいつは不満がある」って構ってくれない。だから、まめに意志表示せんとあかんのかなってぼくは思っている。
今日はうちの近くで大規模なデモがあった。アパートの前に、武装警官が何十人もいた。詳しいはなしは別のところで書こう。
例文を提供いたします。この手紙を送って実際に引き落としがされているので、多分、意図するところは通じたのだと思います。
ほかにも何かあったんじゃないかな。探してみます。
Paris, le 7 janvier 1994 |
ESHITA Masayuki (l'adresse de client) No.de compte : ****** |
CREDIT LYONNAIS (nom d'agence) (l'adresse d'agence) |
Monsietur, Je sollicite, par ce courrier, l'autorisation d'utiliser mon compte a executer le prelevement automatique du loyer pour une periode de onze mois : a partir du mois fevrier jusqu'au decembre de l'annee 1994. Les presentations qui seront faites au credit sur mon compte vont etre les suivantes : le montant *.*** Frs./mois nom de crediteur Monsieur (nom de proprietaire) Mon compte sera debite comme chaque mois, le premier jour du mois. Vous trouverez ci-joint un R.I.B du crediteur. Je vous prie d'agreer, Monsieur, l'expression de mes sentiments distingues. |
ESHITA Masayuki (signature) |
N.B : R.I.B = Releve d'Identite Banciare(口座証明書)
ぼくは口座開設2週間後に、小切手もインターナショナル・タイプのCBも発行してもらえました。ちょっと郵送の手違いはあったけど。ついでながら、本当ならレジデンシャルでないと開設できない定期預金口座まで作ってくれたのだった。まあ、フランスだから(笑)。
フランスの銀行では、クレディ・リヨネが日本人顧客獲得に熱心です。パリ中央支店には日本人専用の担当者がいます。
来週からいよいよ夏時間、日本との時差が7時間になります。Vacances de Pac が近づいてきたので、Patisserieには恒例の卵チョコがでまわっていますねえ。ウチの斜め向かいの街路樹に、カササギに似た鳥が巣をつくりはじめました。春じゃ春じゃ。
フランスから日本の本を注文するのも大変と思いきや、八重洲ブックセンターだけはニフティからのオンライン・ショッピングを利用できるのである。ただし、マンガと雑誌だけは対象外なので、救援物資には常にこの二つがリストアップされてしまうのである。
ぼくの勝手な推測だと、イギリス人がじろじろ見るのは警戒心から、フランス人やイタリア人がじろじろ見るのは好奇心から、って気がしますね。イギリス人とフランス人、そして日本人の反応の違いは、非言語コミュニケーションでは頻繁に取り上げられるテーマですね。この分野の必読書、マレービアンの「ノンバーバル・コミュニケーション」でも、食事に対する反応の違いが取り上げられていました。
フランス語そのものは一世紀以上(笑)変わっていないと思いますが、フランス語教材はだいぶ変わっています。どんどん改善されているんじゃないかな、って気がします。だから、なるべく新しい教材を使ったほうがいいと思います。
ぼくはいつも Nouveau Sans Frontier (Cle Internationale) をすすめています。フランスの語学学校では、現在、N.S.F.と Espace がテキストの主流です。どちらかというと、いまは Espace 派が優勢かな。ただし、論説文や会話文のバランス、発音や会話練習などの配分、そして単語量を考えますと、N.S.F.のほうがいいんじゃないかな、と思います。もし新たに教材を揃えるのであれば、ずばりこれをおすすめします。ほかに、Avec Plaisirとか Bienvenueなど、AV教材を前提にしたテキストもあるようです。
「Salut!」は万能の挨拶ことばですね。会うときも「Salut!」、別れるときも「Salut!」、なんでも使えます。友人間なら「Au revoir!」よりも、「Salut, ciao!」の方がスマートですね。France Interの夜の放送でも、DJは最後に「Salut! A demain!」。ぼくのときは、ペレさんも結構「Salut!」を使っていましたよ。やっぱり流行があるのかな。
最近、フランスの各地でデモが続発しています。バラデュール内閣が提示した、法定最低賃金の引き下げ法案が原因です。これは、20%以上といわれる若年層の失業対策に考えられたものです。それによって解雇されるのではないかと心配する高齢労働者層、さらに、低賃金で雇用されることを不満とする大学・高校生が、大規模な反対デモを展開しているのす。
モンパルナスで14千人のデモ隊が集結した、とラジオ、France Interで報道されました。報道の一時間前、そのデモ隊はウチの前を通過していったのでした。歩道だけでなく車道にまで無秩序に広がったデモ隊――オフィスの窓や商店のショウウィンドウを壊したり、駐車中のバイクやゴミ箱をひっくり返すなどを繰り返していました。ぼくがデモ隊に気がついたのも、ショウウィンドウを壊す音がアパートの四階まで聞こえたからです。窓をあけて外をみると、殺気だったひとの流れ。まわりをみると、どのアパートからも、沿道をのぞく人がたくさんいました。
17日にはさらに大規模のデモがどこかであるそうです。
前に書いたかもしれないけど、ぼくはいま、英語圏の国に旅行するのがこわい(ってほど大げさでもないけど)んですよ。まがりなりにもフランス語で用がたせるわけで、当然、フランス語の通じる国なら不自由はないだろうって安心感があるわけですね。その安心感の背後には、フランス語が駄目なら英語があるさ、みたいなバックアップ意識もある。
ところが、英語圏の国だと、最初から切り札?を使わなければいけないプレッシャーを感じる。イギリスやアメリカ、オーストラリアでそんなにフランス語が通用するわけないし。そんなわけだから、ベルンでフランス語が通用するのを知ったとき、ほんと、安心しましたねえ。
アテネ・フランセのJPペレさん、もう在日30年くらいになるんじゃないのかな。なにしろアクの強いひとなので、相性のあわない生徒は一日でクラスをかえ、相性があうと、3年も4年も同じテキストのまま継続する、という両極端なパターンの持ち主ですね。ぼくの場合は相性があってしまった(笑)ほうで、ペレ氏の引っ越しの手伝いやら、テレビの配線工事やらを手伝わされてしまった。
ほんと、役者って感じの先生ですね。全然、日本語に不自由しないくせに、普段は知らないふりをする。台湾や韓国を旅行するときは、日本語で用をたしているそうです。授業では生徒をいぢめるけど、プライベートでは剽軽なおっさんですわ。いろいろと問題集なんかも出しているみたいですね。いまでもときおり、「この雑誌を送ってくれ!」って手紙がきますけど、たいていが左翼系の雑誌でしたよ(笑)。
フランスはデモやストが多い国である。不満があったらアピールし、なんとか自分に有利な決定を勝ち取ろうとする。多くの人がアピールし、利害がぶつかりあい、衝突し、そして打開策が生まれる。デモやストが起きるたびに、いわゆる市民生活にはさまざまな不便・不都合が生じるが、すくなくともフランス人たちは、それを迷惑だからやめろとは言わない。デモやストは生活上の当然の権利だと考えているわけだ。
住んでいたアパートが面していたのはBouevard de Port Royalという広い通りだったが、ここはデモ行進の定番コースに入っていた。オステルリッツ方面からモンパルナス方面に抜ける道だったので、たぶん、デモには利用しやすいルートだったのだろう。おかげで、大規模なデモが起きるたびに、窓から様子を見物できた。
94年3月のデモは、多くの労働者の生活に直結する事柄への抗議行動だったので、いつものデモよりもかなり過激な行動が見られた。商店が破壊された地域もあったらしい。そんなわけで、このときのデモでは治安警察(日本の機動隊に相当)の隊員があちこちで警備にあたっていた。
(2006.3.3記)