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96年4月の日記の一部は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラムロマンス語派館」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。
当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。
世界最初の自動車レースはフランスでおこなわれました。そのあたりの状況は、次の本にくわしく書かれております。
馬なし馬車による走行会 ――パリ〜ルーアン1894
高斎正・著、集英社
著者・高斎さんはこの本の取材のため93年秋にフランスを訪問されましたが、そのとき、「来年は自動車レース誕生百周年なのに、日本の自動車雑誌はぜんぜん関心を払わない。そもそもレース誕生が1894年だということを知るモータージャーナリストがほとんどない」と憤っておられました。パリ〜ルーアンは計時走行会という主旨で、実際にレース形式となったのは翌年に開催されたパリ〜ボルドーなんだそうです。
これも高斎さんから聞いた話ですが、自動車の発明はドイツのダイムラーとベンツがおこなったというのが定説ですが、じつはその数年前にフランス人が発明したという考えもある、ということです。量産車の基礎を築いたのはダイムラーとベンツであるのは事実でも、発明となると、なにをもって自動車と考えるかで見方が変わるはず、ということですね。
フランス自動車クラブ(Automobile Club de France)が設立されたのは1895年だったと思いますが、たしか昨年、創立百周年記念切手が発行されていたと思います。自動車クラブの総本山 F.I.A(Federation Internationale d'Automobile)はコンコルド広場にあります。
昨日のF1ヨーロッパGPでは、新人ジャック・ビルヌーブが優勝しました。片山右京は失格となってしまいましたが。おなじ日、ニッポンの鈴鹿では Formula Nippon が開幕しましたが、48歳の大ベテラン星野一義が優勝しました。星野ったら、ジャック・ビルヌーブの父親ジル・ビルヌーブが18年前に富士スピードウェイで開催された F1日本GP に出走してたんじゃなかったかな。
今年の Formula Nippon で注目されているのは、新鋭・高木虎ノ介がチャンピオンを取れるかどうかですが、開幕戦では若さが出て追突・リタイヤでした。でもやっぱすげー速い。チャンピオンを取れば来年は F1にステップ・アップするでしょうから、いまからそれが楽しみす。
F1 Monaco GP、Fete de la musique、14 juillet が個人的には初夏から夏を告げる風物詩という感じを抱いておりました。モンテカルロ市街地コースは2年前にはじめて実物(?)を眺めたのですが、Monte de Beau Rivage が思っていたより急だったのが印象的でした。ミラボーやステーション・ヘアピンなどの名所では、ほんの二週間前に事故死したセナの姿を思い浮かべたものであります。
今年はデイモン・ヒルが親子優勝を達成できるかどうかが注目ですね。
杏が「花の信州」一番手なら、二番手はもちろん高遠城址公園の桜だ。公園が小高い丘の上にあるため、桜が満開に咲く時期に遠くから眺めると、ピンク色のカツラをかぶったような感じに見える。森の杏も壮観だが、高遠の桜の密度もすさまじい。これだけ桜吹雪がすごいと、二週間洗わなかった頭からフケが一斉に落ちるところを連想してしまう(笑)。
学生時代から、信州に花を見に行くのが好きである。そしてシーズンの開始を告げるのは更埴市の杏だ。杏の季節に初めて訪れたのは15年も前のこと。夜行に乗って早朝に到着した。今回は二度目だが、どちらも抜けるような晴天だった。「杏の里」と呼ばれるのは森地区といわれる区画で、約10万本の杏が一斉に開花する。満開の時期が短いのは桜とおなじだ。今日はほぼ8分の咲きぐあいで、じつに絵になる光景だった。もう一区画、名前は忘れたが、そちらは杏の本数は少ないものの、古い家屋が多く、写真に撮ると美しいという話を聞いたことがある。まあ、それは次の機会であるな。
杏の花は、桜と桃を足して二で割ったような雰囲気だ。枝振りに特徴があって、細い枝がつんつんと空を突くような感じで伸びている。それにしても、これだけ半端じゃない数が一斉に咲き誇るのは、ほんと、壮観である。
ふー、久々の出張からようやく復帰。最後に訪れた小松では作家の谷甲州さんのお宅に泊めていただいたのだけど、谷さんの仕事場で差し向かいでビールをちびちび舐めているときに、ぬわんと新田次郎文学賞受賞の連絡が入ったんですよ。受賞の瞬間をわずか1メートル目の前で目撃しちゃいました。
学生時代にすっかりと信州にハマってしまった。もともと母方が信州の出身なので、小さなころからなんとなく憧れのようなイメージは抱いていた。学生時代にちょくちょく訪れる機会があり、住民でもないのに一年の四分の一ぐらいを信州で過ごすようにまでなってしまった。信州全体を巡りきったが、何度行ってもその都度感激が違う。
最大の魅力のひとつは「花」だと思う。桜の花見なんて、数ある花の楽しみ方のひとつにすぎない。信州の場合、まずは4月に更埴の森の杏から花シーズンが始まり、高遠の桜、5月の連休ごろから篠ノ井線沿いや千曲川沿いであちこちで、桃、リンゴ、梨が花開き、北竜湖や野沢温泉方面で菜の花畑が広がり、下旬には鬼無里でミズバショウが見頃になる。6月に入れば上高地・乗鞍でスモモ、スズラン、ケショウヤナギ、そしてニリンソウが見ごろに。7月上旬には霧ヶ峰高原でニッコウキスゲが咲き誇り、8月には八方尾根で高山植物が見られる。五ヶ月間、いろいろな花を満喫できるわけだ。それが終われば紅葉シーズン到来なので、ほんと、一年中目を楽しませてくれる。