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97年4月の日記は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラムロマンス語派館」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。
当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。
水星の観測好機はだいたい 3〜4月か 9〜10月ですね。なにせ離角が狭いですから、日没時に黄道が立っている季節、つまり春分(宵の空)か秋分(明けの空)前後に最大離角になる時期がチャンスであります。ぼくが最初に見たのは25年前の12月ですね。そのときは明けの空でしたが。
23年前には水星と金星が見かけ上大接近したことがありますよ。たしか角度にして20分ぐらいだっけかな。望遠鏡で低倍率で見ると、おなじ視野に両方の星が入りました。会合周期は水星が11年、金星が 8年だから、これだけの大接近は88年に 1回の現象ですね、単純計算では。
水星は赤道に近い地帯ほど観測しやすいので、ヨーロッパでは不利です。コペルニクスはデンマークの人だったので、ついぞ水星を見ることがなかったそうです。
1986年には水星の太陽面通過があったのだけど、そろそろまたあるんじゃないのかな。金星は2012年だっけかな。
彗星はものすごく茫洋とした天体なので、光度よりもみずらいのが普通ですね。恒星は点光源ですが、彗星は面であり、発表される光度は面全体を点光源にしたときの明るさですから。これは星雲や星団でもおなじで、たとえばプレアデスという散開星団(日本名は「すばる」)の光度は1等級近いですが、実際は4等星ぐらいの星が数個寄せ集まっている状態なので、最低でも3等星ぐらい見える空でないと存在がわかりません。
彗星は一見すると星雲や星団に見かけのすがたが似ており、コメットハンターたちはそれを区別しないといけませんでした。で、むかしメシエというフランス人コメットハンターが「まぎらわしい天体」110個分ののカタログを作りました。いまでもそのリストにあがった天体を「メシエ78」などといいます(一般には「M78」のように略す)。メシエ1は「かに星雲」と呼ばれる天体で、これは超新星爆発の残骸なのですが、母天体が急速に明るくなったときの様子を、藤原定家が日記に残しています。定家はたしかハレー彗星についても記録を残していたんじゃないのかな。
彗星観測にいちばん使われる光学機はおそらく双眼鏡でしょう。一般アマチュア向けだとかつて海軍が使っていた50mm×7倍という規格がいちばん手頃です。コメットハンターは捕鯨船が使っていた120mm×20倍ぐらいのを使っていたようですけどね。
ヘール=ボップ彗星はコアがでかい彗星なので拡散部分が少なく、発表光度がそのままの明るさに近いですね。これでハレー彗星なみの近日点距離だったら、金星なみの明るさにもなっておったんじゃないのかな。
せっかく日本に来て手元に双眼鏡があるのに、こんどは連日の雨で空がみえまへん(;_;)。
昨日も楽々と薄明のなかに見えました。肉眼でこんなに簡単に尾まで見える彗星は、すくなくともワタシが生まれてからは(1959年以降)6つぐらいしかありませんので、このチャンスはお見のがしなく。薄明が終わりかけるころ、北西の空を見上げればすぐにわかります。周囲にそれよりも明るいがありませんから。
フランスで外国人がアパートを探すとき、一点、注意しなきゃいけないことがあります。フランスの不動産業者は法律によって、借り主の収入の3分の1以下の物件しか斡旋できません。借りる方からすれば、たとえば 4,000 Frsの物件を業者に斡旋してもらうには、月収換算で 12,000 Frs以上の収入があることを証明しないとあかんのです。
企業派遣員であれば、この条件はたいていクリアされますが、個人留学生となるとこれにひっかかるケースが多いと思います。よって留学による渡仏であれば、「不動産業者から探すのは困難」と考えた方がいいでしょう。
他方、フランスは業者を仲介させない不動産賃貸物件がかなり多数あります。それはミニテルや Figaro 木曜版にアノンスとして出されますから、これらからこまめに探し出すというのは、外国人であっても有力な手段ですね。
あと、在仏日本人会の事務室、ジュンク堂、Voyageur au Japon 営業所などには、日本人どうしの賃貸物件、あるいは日本人に貸したいと思っているフランス人オーナーの賃貸物件のアノンスが大量に掲示されています。これらから探して借りるというのもひとつの方法です。ぼくがいま住んでいるところは、在仏日本人会のアノンスで見つけたところです。
その他、OVNIやフランスニュースダイジェストにもアノンスが掲載されます。ただし、それらの物件の多くは日本人会にも掲載され、有料物件はたいてい発行前にはすでにツバがついているようです。
バスティーユ近辺はけっこう安くていい物件が多いと思いますよ。その近くであればナシオンあたりも人気がありますね。マレ地区は日本でいえば「麻布に住みたい!」というようなもんです。
4月はニフティの大会出席のため日本に出張した。この時期だと巴里・東京の往復運賃が安いので、ニフティから支給される交通費で飛行機代のかなりをまかなうことができた。もちろん、せっかく日本に行くことができるので、二週間ほど滞在していろいろな営業をしたり、オフをこなすのである。そしてこのときの一時帰国では、原村に行ってヘール=ボップ彗星を眺めることにした。
タイトなスケジュールをやりくりして原村に二泊だけ滞在することにした。このときは彗星の高度がそれほど高くなかったので、山荘二階のリビングに望遠鏡を置いたまま眺めてみた。ただ、残念なことに、百武第二彗星と違ってコマが非常に大きく、望遠鏡で眺めても、ぼやっとした繭のような天体が見えただけである。ディテールが見えるかと期待していたのだが。
(2006.3.12記)