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97年6月の日記の一部は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラムロマンス語派館」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。
当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。
コンサート会場は街のあちこち。広い公園ではたいていやっているし、消防署は夜になるとダンスホールになる。これらの写真は Jussieu の Jardin des Plantes のもの。
fete de la musique には素人の参加もなくはないんだが、たいていは演劇などを勉強している学生がボランティアでやるか、プロが宣伝がてら安いギャラでおこなうことが多いみたい。外国からやってくるグループもあって、チラシを配りながら、15分ぐらいのコーラスなどを聞かせてくれる。
よくよく考えてみたら、アメリカだって大統領の出身党と議会の多数派は別って状態がこのところずっと続いているんだよねえ。まあ、アメリカとは単純比較はできないけれど。
ここ2、3年ほどで爆発的に普及しとります>携帯電話。先日の調査結果では、利用者数は 400万人を突破したようですね。対人口比で普及率は 7パーセントといったところ。一般に普及率が8パーセントを越すと日常風景化しはじめるといいますから、携帯電話はもうごく普通のものになったといっていいでしょうね。赤ん坊は使えませんから。
業者は France Telecom 系の itineris と独立系の SFRの二社が寡占してます。いずれも GSM方式というヨーロッパ共通のデジタル方式です。ほかにもフランス独自のアナログ方式の業者がありますが、ないに等しい状況といっていいでしょう。
ワタシが持っているのは SFRで、昨年の秋、三ヶ月間基本料金無料キャンペーンをやっていたときに加入しました。その後また値下げがあって、いまでは基本料金が 80 FHT/mois、通話料金が 1〜4 FTTC/minute です。
GSM 方式はヨーロッパ以外にも東南アジアをはじめ世界70ヶ国以上で採用されており、各業者がローミングをおこなっているので、たとえばフランスの SFRの携帯電話がそのまま香港で使えたりもします。ただし、そういうサービスを受けるには、基本料金がいちばん高いオプション(たしか 200 FHT/mois以上)にしないとだめですけどね。ぼくが選択した設定はフランス国内専用です。
フランスは完全小選挙区制だから、大物議員がコロコロ落ちても不思議はないでしょう。かつての田中角栄だって、小選挙区制だったら連続当選できたかどうか、けっこう微妙だったんじゃないですか?
であれば、経歴が相対的に重要でなくなるのも、それほど不思議ではないような気もします。
ジョスパンの場合、過去に第一書記でしたから、その経歴からして大統領候補になってもおかしくはないでしょう。ロカールだって93年の選挙で落選したけど、その後第一書記になって、一時期は大統領候補に名乗りを上げていたのですから。
政治家の発言力には、議会での発言力と、党内での発言力とがあるんじゃないでしょうか。
しかし、左派政権はドブレ法、パスクワ法の廃止を公約していたから、その意味では歓迎したいけど、年金負担がふえそうな気がしてしまう。学生さんには関係ないことなのだけど、この出費はかなりこたえるんですよ(;_;)。先月も支払い月だったから 4,000 Frs出ていったし。フランスは直接税は日本とおなじぐらいなのだけど、年金負担は2割ほど高いんです。ニッポンでも年金を払っているので、完全な二重負担なんですよね。
左派が予想以上に差をつけて勝ちましたね。
選挙公約でパスクワ法とドブレ法の廃止を訴えていたのだから、それが実行されることを願いましょう。もっと厳しい法律になったらたまらんけど。
どちらが勝つにせよ、せいぜい15議席差ぐらいだと思っていたんですけどねえ。国民の鬱屈が予想以上だったということでしょうか。でもこれで左派の多数が五年は保証されたわけだから、シラク大統領も実質的に「象徴」みたいなもんになっちゃうのかな。ナポリサミットのときは、「国家元首バラデュールがミッテランをサミットに派遣した」なんて皮肉が新聞に載ったけど、今度は逆パターンになるわけですね。
選挙公約ではサービス関係の TVAを 5.5パーセントにするなんてのもあるけど、その引き替えに年金が引き上げられたらたまりませんね。当然これからは緊縮予算が人気取りのために多少なりとも緩むだろうから、そうなるとユーロは遠のくんじゃないっすかねえ。ドイツも金保有高を時価評価に変えて粉飾決算を始めたし、やっぱ統一通過なんていうのは、ブリュッセルのテクノクラートの机上だけに存在するものになるんでしょうか。
ワタシの地区では内閣ナンバー2だったジャック・トゥーボン氏が落選したようであります。ジュペさんは当選したとはいっても、そんなに差がありませんでしたね。
ぼくはジュペもロカールもけっこう好きでした。エリート然とした政治家にシンパシーを覚えるのです。ロカールの場合、前回の総選挙でコケてしまったことが、それまでの実績をすべてリセットしちゃいましたね。
ジュペにしてもロカールにしても、いずれも首相就任当時は誰もが認める「次期大統領候補」「党の切り札」的存在でしたよね。しかも誰が首相になっても困難な状況でした。だから大統領はエースを投入したのか、それとも自分を脅かす芽を摘むために投入したと考えるかは、格好の井戸端政治談義ネタでしょう。
今回の結果は、「ありゃりゃ、左派有利かいな。んじゃ決選投票では右派にすっか」という寝返りを招く可能性もあるんじゃないか、という気がします。基本的に右でも左でもいい、といったところだし、不人気のジュペが辞任したことが、ちょっとしたガス抜きになったのではないか、と。うちの郵便受けにはジャック・トゥーボン支持を訴える極右候補支持団体のチラシが入っておりました。
政治と世論調査との関係については、ドイツのコミュニケーション学者エリザベート・ノエル=ノイマンによる有名な研究があります。「沈黙の螺旋」理論というのですが、これが実際のメカニズムとして反映されているとすれば、選挙前に世論調査を禁止するのはひとつの見識だと思います。これは基本的に「勝ち馬に乗る」現象に注目したものですね。
バイアスのかかっていない世論(調査)なんてありえないんだから、世論調査の公表を禁止して冷却期間を強制的に作るという制度は理解できるものの、いまみたいにメディアの発達した社会では、根本的に無理があるってことなんじゃないでしょうかねえ。なんにせよ、フランスの静かな選挙はニッポンも見習ってほしい(笑)。
国民議会選挙では左派(社会党、共産党、緑の党)が勝利した。地元の保守派有力議員で現職の法務大臣ジャック・トゥーボンは落選した。
前回の国民議会選挙では、保守・中道が地滑り的な勝利をおさめた。左派は230以上あった議席を半分以上失い、社会党単独ではわずか90議席程度まで落ち込んだはずである。それが今回の選挙で200議席以上に復活したわけだ。完全小選挙区制だと、こういうシーソーゲームのような展開を見せることがめずらしくない。
左派の勝利にともない、社会党の第一書記リオネール・ジョスパンが首相となり、四年ぶりで左派の内閣が成立することとなった。一般には保守・中道政権の方が移民政策が厳しく、左派政権の方が多少は寛大だと言われるが、慢性化した高失業率のなか、移民政策が緩和されるとは考えにくい。