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95年5月の日記は、パソコン通信NIFTY-Serveの「外国語フォーラムロマンス語派館」に書き散らしていたものを再編集したものです。ただし、タイトルは若干変更したものがありますし、オリジナルの文面から個人名を削除するなど、webサイトへの収録にあたって最低限の編集を加えてあります。
当時の電子会議室では、備忘録的に書いた事柄もあれば、質問に対する回答もあります。「問いかけ」のような語りになっている部分は、その時点での電子会議室利用者向けの「会話」であるとお考えください。
Paris Dauphineには知り合いが理事をしている研究所があり、7年前に訪問したことがあります。建物の中のひどさには呆然としたぞ。まあ、そんなだから、去年は大々的な学生デモが繰り返しあったんですけどね。一昨年は Sorbonne がデモばっかだったんだけど。
Paris 3 Censier Daubenton のトイレは男女共用が多いみたい。小さい区画は別々なんだけど、校舎中央のでっかいとこは、ドアに男マークと女マークがといとる。
一昨年は Paris 1の Pantheon 校舎、Paris 4 の Sorbonne 校舎、Paris 11の Orsay校舎に講義が散在されとったのだけど、Orsay の研究所のトイレもすごかった。なにしろ大用の便器に便座がついてねーの。Pantheonはそれでも半分ぐらいはついていたのに。
みんな便座なしでどうやっているんだろう? ぼくは必死に中腰姿勢でやりました。ひょっとしてフランスがスキーのアルペンで強かったのは、みんなトイレでクラウチング・スタイルを鍛えていたからだったりして。
ESSEC は Tour Administratif のトイレはなかなか綺麗なんですが、個室の照明が例のミニュットリー。だから、長時間ふんばっていると、いきなり真っ暗になるうだな、これが。
今回のジュペ新内閣では、女性閣僚数が歴代トップだそうです。若手の思いきった登用も目立つので、新聞のなかには「女子供内閣」と揶揄しているところもあるそうです。
女性政治家の活躍ったら、やっぱ北欧、それにインドやパキスタンでしょうか。友人の話だと東南アジアの名門家系は娘をアメリカの有名大学に留学させるんで、人材的にはすごーく層が厚い。おなじアジア人なのに、日本でなくアメリカやフランスでハクをつけるってのが、当然とはいえやや悲しかっ
たりする。まあ、たしかに日本で政治を勉強したってねえ(溜息)。
巴里でも livraisonが増えてきた。定番のピザだけでなく、中華料理、レバノン料理、印度料理なんかのケータリングがある。それに、巴里市内はもともとあちこちに総菜屋さんがある。
きょうの晩飯は Pizza Hatに頼みました。ここは一度注文すると、住所も code も登録されるんで、二度目以降は電話番号を告げるだけです。いやほんまに楽だわ。注文ったって、ものの5秒で終わりだし。
とある欧州通にいわせますと、「他人なんぞ、ないするかわかったもんじゃない。突然刃物を突きつけてくるかもしれないし。その点、イヌなら安心だ。それに赤子ならこっちに危害を加える危険性も少ないし」
ということで、イヌと赤子は安心のシンボルみたいなもんだ。イヌや赤子をつれいていると、ある程度の「免罪符」となるみたい。
去年、在仏日本大使館に免許証の法定翻訳を依頼にいった。前回は在仏日本人会でやったけど、大使館の方が安いとわかった。
あたしゃ原付以外は「眼鏡等」なんすね。で、免許証の写真にも法定翻訳添付の写真にも、メガネしとらんやつを使ってます。そしたらこれにクレームがついた。
領事部「あの、メガネなしの写真でないと困るんですが」
わし 「は?」
領事部「撮り直してきていただけますか?」
わし 「えっ! わざわざそのためだけに?」
領事部「でないと『眼鏡』という訳を入れることができないもので」
わし 「でも、在仏日本人会では問題なくやってくれましたよ」
領事部「えっ? どういうふうになってました?」
わし 「ほら。『メガネまたはコンタクト』ってことで」
領事部「うーん、うちのところでは、そういう訳文は使用していないんです」
わし 「使用していないったって、タイプするだけでしょ?」
領事部「それはそうなんですが……」
わし 「追加するだけじゃないですか」
領事部「そしたら、『コンタクト』ということにしましょう」
わし 「はあ……」
領事部「万一警察でとがめられたら、コンタクトをなくしてメガネに変えた、とうことにしてください」
わし 「はあ……(すでに、どーでもよかった)」
外務省ってやつはもう(笑)。
フランスには bistro Romain っていうチェーン・レストランがある。日本でいえばデニーズみたいなもんかもしれん。ただ、ここが一見するとそれなりにしゃれてみえる。ろまんちっくな雰囲気の店もある。だから日本から遊びにきたひとの接待で手を抜こうと思うと、たいていここを利用したりするわけで(笑)。
あらたに首相となったアラン・ジュペ、見るからにエリートだが経歴もエリートの典型だ。ENAでは首席だったそうな。そのENA時代、当時のシラク首相の演説草稿を書いていたらしい。
先の大統領選挙のおりには、ジョスパン候補にはドロール元EC委員長、バラデュール候補にはパスクワ前内相、そしてシラク候補にはアラン・ジュペが応援演説などをおこなっていた。このなかでアラン・ジュペは最も若く、そして経歴的には他の人たちよりも劣っていたはずだが、演説はジュペがいちばんうまかったと思う。とにかく論理的な説得力があった。
ジュペの話し方は、すごく早口なのだけど、言葉のつながりが整然としているので、われら外国人でも十分に聞き取れる。ゆっくりとしたリズムで語りかけるシラク節とは異なるが、わかりやすい話し方といっていいだろう。それに対し、ドロール元委員長は声がかすれ、しかもやや迂遠な表現があるため、誠実な感じはするのだけど強さが感じられない。大統領選の決選投票前にドロールとジュペの論戦が行われたが、ジュペの方が優勢に思われた。
ただ、こういう人は「鼻持ちならない」と思う人もいるように思う。あまりにもエリート臭がきついので、「おまえなんかに言われたくないよ」という反応を示す人がいても不思議ではない。でも、「一生懸命頑張ります」しか言えないカイフ元首相よりかは百倍も千倍もマシだと思うのだが。
(2006.2.24記)